コンクリートジャングルに存在する青葉生い茂る緑園空間、「サニー緑ヶ丘1丁目」 メンバーが気持ち良く働ける環境創成にかける想いとは
はじめまして。株式会社サニーサイドアップグループ 総務人事部総務グループの髙野と申します。今回は私が担当する「サニー緑ヶ丘1丁目緑化創成プロジェクト」をご紹介いたします。
■コンクリートジャングル・トーキョー
自然の多い場所で生まれ育った私が、この街で過ごすようになってもう10年の月日が経つ。最近ではようやくこの街の無機質な環境にも慣れてきたものの、夕立後に立ち込めるアスファルトの砂埃の匂いにはいまだに慣れない。それが好きな人もいるそうだが。
どこかで自然を求めているのだろうか。PCの画面から目を離し、小さな窓枠の外に広がる新宿御苑の木々に目を奪われている自分に、もう一人の自分がそう問いかける。
“オフィスのなかにもっと自然があればいいのに”始まりは確かそんな感じでした。
■いま、現状を変えるとき
そんな想いを抱きながら出社したとある朝。入口付近の植栽に何気なく目をやると、そこに居並ぶのはどれも、数枚の葉っぱが申し訳なさそうに頭を垂れており、水気を失いささくれだった枝は諦めにも似た気持ちで茫然と佇んでいる。
“ここから変えてみるか”
何かを変えることは簡単ではありません。無論、植栽もその一つ。提案を通すためには相手を納得させるだけの定量的な根拠が必要になります。しかし考えてみると、植栽を入れることのメリットを定量的に説明することは案外難しいのです。とはいえ、このままの状態で良いわけがないこともまた事実。そこで私は、枯れ木の写真を載せた資料だけを引っ提げ、サニーサイドアップ代表取締役社長小久保の執務室へと飛び込んだのです。
「社長!オフィスにある植栽はあまりにひどい。これならいっそない方がマシではないでしょうか。」アポも取らずにダメ元で飛び込んだ私に向けて、小久保がかけた言葉は意外なものでした。
「確かにそうだね。ちょっと調べてみてよ。」
“あれ…通ったのかこれ…。”歯車が動き出す音が、かすかに聞こえたような気がしました。
■サニー緑ヶ丘1丁目緑化創成プロジェクトとは?
意外なまでにあっさりと始まったのが「サニー緑ヶ丘1丁目緑化創成プロジェクト」です。前述のとおり、オフィスに設置された植栽はどれも、いまわの際に立たされたものばかりでしたが、最初からそんな状態ではありません。
当社がオフィスの大規模リノベーションを行った2020年11月頃には、大小様々な約100鉢程度の観葉植物が至る所に設置されておりました。ところが、1年が経つ頃には100鉢が50鉢に、さらにもう半年が経つ頃には50鉢は20鉢に、しまいにはその20鉢すらも余すことなく枯れ果ててしまう有様。
こうした状況を打破して、メンバーの心が安らぐような緑溢れるオフィスの創成を目指すのが、このサニー緑ヶ丘1丁目緑化創成プロジェクトなのです。
■波乱の幕開け
順調な滑り出しを見せたかと思ったこのプロジェクトは、いきなり大きな岐路に立たされることになります。それは、植栽を「レンタル」するか、「購入」するかというもの。どちらを選択するかによってその後の行方は大きく変わる。まさに組織の未来を左右する重大な決断を迫られたのです。
■当社が抱える暗いトラウマが「レンタル」という選択を輝かせた
レンタルのメリット。それは、業者さんが定期的にメンテナンスにきてくれるというもの。100鉢あった植栽を枯らしたという後ろめたい過去を持つ当社にとって、このメリットは非常に魅力的に映ります。メンバーの多くがレンタル派へと傾くことは必然的な流れでした。
彼らは口々にこう叫びます。
「購入したってどうせ枯らしてしまうだけだ。」
「二の舞を演じることほど無様なことはない。」
「いっそ全部レンタルでいいじゃないか。」
“レンタル派のいう理屈は至極もっともだ、レンタルにしよう。”
何度もそう決めたはずなのに、どうしても心がそれを許さない。その理由は、本物の職人の手によって育てられた生命力溢れる植栽が立ち並ぶあの店の光景が、頭から離れなかったからです。
■FUGAという職人集団
東京都渋谷区・神宮前。自然とは程遠い大都会の真ん中にそのお店はあります。その名は、FUGA。1994年に設立されたこの店は、約30年近く、業界の第一線を走り続けるプロ集団です。多くのお花屋さんの頂点に君臨し続ける理由のひとつには、FUGAに根付くきわめて“逆接的な”コンセプトがあげられます。
「花や植物は必需品ではない。しかし、その必需品でないものこそが人生や心を豊かにする。そのことを私たちはお伝えしていく。」
普通に考えれば、必需品でないものが人生や心を豊かにすることなどないように思えます。しかし、FUGAはハッキリとそれを否定します。そして、FUGAは問うのです。花や植物が人生や心を豊かにしないのならば、なぜ人は花や植物に心惹かれるのか、と。
■藤田氏との運命的な出会い
そうしたコンセプトを大事にするFUGAの藤田氏との出会いがその後の命運を変えました。小久保とともに初めてお店にお伺いしたときのことです。スラっとした出で立ちでどこか飄々とした感じのある藤田氏との名刺交換を終え、私たちが植物の説明を求めるやいなや、藤田氏の様子が一変したのです。
まるで我が子のように。使い古された言い回しを用いずにはいられないほどに、藤田氏は喜々としながら、ときに真剣に、一つ一つの植物にまつわる物語を自らの言葉で語るのです。そこで語られることは通り一辺倒のお仕着せの説明では決してなく、それゆえに、その説明は聞く人みなを植栽の虜にします。小久保も私も例外ではありませんでした。普段は、社長とスタッフという肩書きの大きな違いがある者どうしが、いまその垣根を超えて、一つの植栽を前に、無邪気な童(わらべ)と化すのです。
帰りのタクシーの車内。横に座る小久保の横顔をふと見たとき、ちょっぴりと名残惜しそうな表情を浮かべていたように思えたのは、私の思い違いではないでしょう。
■決断のとき
いまにして思えば、お店に伺った時点で、すでに決断は下されていたのだと思います。ただそれを言葉にしなかっただけのこと。
「FUGAから購入しよう。」
その言葉を初めて小久保が口にしたとき、導入に向けた確かな覚悟が私に芽生えました。
納品までの道のりは一筋縄ではいきませんでした。難題を切り抜ける様を担当者目線で描くのがこのSUNNY DAYSの醍醐味の一つですが、それはまたの機会に譲ろうと思います。
■一つだけ確かなこと
植栽を入れるのにもお金がかかる。それを入れても営業利益が増加するわけでもない。なんでも定量的にモノゴトを測ろうとする世の中において、必需品ではない植栽を導入することのメリットを説明することはとても難しい。しかし一つだけ確かなことは、植栽を見ることでメンバーの心は確実に満たされ、そして豊かになったということ。上手にそれを測れないけれども、何らかの意味がそこにはある。
数値化できないものにも価値を置くこと。
忘れがちだが大切なことを、植栽はわたしたちに教えてくれたのかもしれません。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
最後に、新しい植栽のご紹介をもって、ひとまずのお別れといたします。またいつの日か皆様にお目にかかれる日を楽しみにしております。
■ 個性のカタチ
オフィスの顔であるエントランスに位置するこちらの植栽。サイズこそ大きくないものの、植木鉢から溢れんばかりのその存在感には目を見張るものがある。自分が最も生えたい方向に生えるのだ。その様子からは葉や茎の強い意思と生き様を感じる。
■ ハバナの昼下がり
灼きつくような強めのジンに、遠くで聞こえるラテン音楽。日暮れ前に最後の悪あがきをみせる太陽が照りつけるハバナの昼下がり。日差しを遮る大きな葉のもとで、人々はつかの間の夢を見る。そんなコンセプトのもとに設置したのがこちらの植栽。背丈ほどある大きな葉が特徴的だ。
■ Un petit café ?
多くのメンバーが行き交うオフィス。顔は見たことあるが話したことはないメンバー同士が偶然にも一つのスタンドテーブルを挟む瞬間。声をかけてみたい。でも、口下手な私は何を話せばいいのだろうか。そんなときはテーブルに置かれたこの植栽を会話の糸口にしてみてはどうだろう?いつの時代もコミュニケーションは些細なところから始まる。
■ 騒めくオフィスの真ん中で
慌ただしく右往左往するメンバーを尻目に、静かに淡々と自分に与えられた役目をこなす。華美や装飾を徹底的に削ぎ落とし、シンプルだけれども垢ぬけているこの植栽は、真の大人というものの佇まいを教えてくれる。歳を重ねたから大人になるのではない。自分を磨き続けることで大人になるのだ。大人になったつもりでいる自分が少し恥ずかしくなった。