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2026年度カンヌライオンズ受賞作から紐解く「世界の潮流」|カンヌ社内報告会レポート

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佐藤稜太(サニーサイドアップ)

みなさん、こんにちは!サニーサイドアップのコミュニケーションプランニング部に所属している佐藤稜太です。

世界最高峰のクリエイティビティが集結する広告・PRの祭典「カンヌライオンズ」。2026年も現地フランス・カンヌでは、これからのコミュニケーションのあり方を問う革新的な事例が数多く発表され、多くのPRパーソンが注目しました。今年、サニーサイドアップから4人のメンバーが現地に滞在し、世界中から集まる素晴らしい作品の数々や、トップクリエイターたちの熱量あふれるプレゼンテーションを直接インプットしてきました。

そして!この知見をいち早く社内のナレッジとして共有するため、カンヌ帰国報告勉強会を開催!

今回の勉強会は、サニーサイドアップグループに新たにジョインしたビルコムとの「初の合同振り返り勉強会」という記念すべき機会となりました。ビルコムも毎年独自に社内交流制度などを活用してカンヌ振り返り会を実施しており、両社が持つPRノウハウと視点を融合させることで、グループ全体のシナジーを発揮し、お互いの知見を深く共有する貴重な機会となりました。

世界最高峰のクリエイティビティが集結!勉強会の舞台裏

サニーサイドアップ社内で行われた「カンヌ国際映画祭」に関する社内報告会の様子

サニーサイドアップからは、現地に赴いて最先端の事例をリサーチしてきた視察メンバーの浅野、山口、金井が参加し、ビルコムからはアクティベーションプランニングやクライアント担当を務める大野、山本がスピーカーとして登壇いたしました。

今回の勉強会は、SSUオフィスに集まったオフラインの参加者だけでなく、オンラインからも多くのグループメンバーが参加するハイブリッド形式で進行いたしました。

代表取締役社長のシーチャウも交えリアルタイムでコメントや質問を活発に伝え合い、世界最先端の事例に対する理解を深める時間となりました。ただの事例紹介にとどまらず、PRパーソンの視点として「なぜこの事例が評価されたのか」「日頃の企画にどう生かすか」を徹底的に分析したことが、今回の勉強会のポイントです。

サニーサイドアップ社内で行われた「カンヌ国際映画祭」に関する社内報告会の様子

特筆すべきカンヌライオンズ受賞事例

勉強会の中で特に議論が白熱した、受賞事例をPRパーソンの視点で解説いたします。

1.『The Thousand Sponsors of Muni』

  • 部門/賞: Entertainment Lions for Sport グランプリ  
  • 事例概要: 財政難に直面していたペルーのサッカークラブが、大口のスポンサー1社を募るのではなく、ユニフォームの面積を1,000のマス目に細分化し、ファンや地元の小規模企業に販売した施策です。
  • 評価ポイント: 単なる資金調達や寄付の呼びかけに終わらせず、スポーツファンダムならではの「地域の熱量」や「所属意識」を、誰もが参加できる経済的な「仕組み」として可視化した点が高く評価されました。 

 

2.『The KitKat Heist』

  • 部門/賞: PR Lions グランプリ ほか 
  • 事例概要: イースターの直前という最悪のタイミングで、12トンもの製品が盗まれるというクライシスが発生しました。企業側はこれを謝罪で終わらせるのではなく、公式が配送トラックの行方を追う追跡サイトを立ち上げ、生活者を「探偵」として巻き込むユーザー参加型のエンターテインメントへと大逆転させた事例です。
  • 評価ポイント: 危機的な状況をあえて秘匿せず、公式が騒ぎを主導することでポジティブな物語へ転換させた発想、そして記事での言及は6500本以上に達し、メディアリーチも8億回以上、2億2400万ドル以上のメディア価値を獲得した実績が賞賛されました。ブランド内部での迅速な意思決定があってこそ実現できた施策です。
 

3.『Sleep Talk Reviews』(IKEA)

  • 部門/賞: Audio & Radio Lions ゴールド
  • 事例概要: カナダのIKEAが、店内で実際に顧客を睡眠させ、睡眠中に発した「リアルな寝言」を録音して、そのままOOHや動画のコピーなどマットレス製品の広告として採用した事例です。
  • 評価ポイント:作り込まれた広告メッセージよりも、コントロールできない人間の素の姿や本音が最も信頼されるという、現代のソーシャルインサイトを巧みに突いています。作り込まれた広告的なメッセージから脱却し、生活者のリアルな感情や行動の「見立て」を変えることで、既存の枠組みから脱却したコミュニケーションを生み出したところが評価されました。 
 

4.『EXPEDITION IMPOSSIBLE』(Columbia Sportswear)

  • 部門/賞: Brand Experience & Activation グランプリほか
  • 事例概要: アウトドアウェアの機能性を訴求するため、「地球は平らである」と信じている地球平面説の支持者に着目した事例です。「地球の果てにたどり着き、その写真をColumbiaのウェアを着用して撮影できたら、会社を譲渡する」という挑戦状を社長自らが発表し、話題化させました。
  • 評価ポイント: 地球の果てでも耐えられる製品の機能性と、「地球平面説」という当時の文化的なトレンドと「会社を賭ける」という社長の本気さを組み合わせた点です。自社商品の強みを最も表現できる挑戦的な状況設定を作り出し、メディア報道とUGCを巻き込んだ大波を起こしました。単に製品のスペックを語るのではなく、「自社商品の特徴を最大限に試せる、極端な相手や状況は何か」を突き詰めて考えるユニークな発想も評価されたポイントです。

 2026年度受賞作から読み解く「世界のPR潮流」

サニーサイドアップ社内で行われた「カンヌ国際映画祭」に関する社内報告会の様子

これらの受賞作を分析すると、AIが急速に普及・定着した現代だからこそ評価される「世界のPR潮流」が見えてきます。

まず大きな転換点として挙げられるのが、従来のデモグラフィック(年齢や性別などの属性)に基づくターゲティングから、「エモグラフィック(感情)」への転換です。効率化、自動最適化、簡略化といった「正解」をAIが導き出せるようになりました。しかし、2026年度のカンヌライオンズで評価の中心にあったのは、AIには計算できない「人間の熱狂」「愛着」「執着」「遊び」「予測不能な無駄」といった極めて人間らしい感情でした。AIが進化すればするほど、「人間らしさ」そのものが求められるという揺り戻しが起きています。

アイデアの定石は、「既存の要素をいかに新しく組み合わせられるか」にあります。寝言の事例ように「生活者が見慣れている当たり前の風景の違う見せ方を提示することや、ユニフォームの事例のように「すでに存在しているものに新しい意味や役割を与えること」が、生活者やステークホルダーの心を動かすきっかけになります。

これからのPRパーソンにとって、AIは発想量を爆発的に増やすパートナーとなります。大量のアイデア発散などはAIの力を上手に使いつつ、その一方で人間らしい感情に向き合うことや発見のあるインサイトを見つけることがより一層重要になるのではないかと思います。

世界中のクリエイティビティ溢れるアイデアから得た知見を生かして、これからも新しい「たのしいさわぎ」をおこしてまいります!

▼メンバーによるカンヌ視察記事はこちら

カンヌライオンズ2026 初日・2日目レポート!

カンヌライオンズ2026 3日目・4日目レポート!

 

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佐藤稜太(サニーサイドアップ)

デジタル広告代理店などを経て、サニーサイドアップ入社。コミュニケーションプランニング部で日々さまざまな企画に向き合う。休日は草野球で3つの変化球を駆使する技巧派ピッチャーとして活動。最近、防御率が落ちてきたのでヒットを打たれたら全部キャッチャーのせいにするようになった。

※所属は執筆時と異なる場合があります

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