人を動かすPRの裏話、聞きたくないカイ?「カイつまんで、ヒモときます。~しな水の貝展~」PR担当者にインタビュー
現在、品川区にあるしながわ水族館では春の特別展「カイつまんで、ヒモときます。~しな水の貝展~」を開催しています。
普段見かける機会は多いのに知られていない魅力も多い“貝”に焦点を当てた本企画展。貝の魅力的な生態や姿をカイつまみながらヒモとけるQ&A方式の解説パネルの設置や、貝の回転寿司が登場する貝(回)転寿司コーナーなど、ユニークな仕掛けがたくさんあります。
サニーサイドアップでは、本企画のPRを担当。そして今回は本プロジェクトを担当したサニーサイドアップの森川と金子にインタビューを実施。
実際にしながわ水族館の魅力が伝わるスポットを紹介しながら、企画展の見どころやPRでこだわったポイントなどをたっぷりと語ってもらいました。
遊び心のある貝の展示会のPRを担当
——しながわ水族館さまと一緒に取り組みをすることになった経緯を教えてください。
森川:しながわ水族館さまから企画展のPRをご依頼をいただき、取り組みがスタートしました。「カイつまんで、ヒモときます。~しな水の貝展~」という企画展のタイトルはすでに決まっていて、遊び心のあるおもしろそうな企画だなと思ったのが第一印象です。
森川:しながわ水族館は住宅地に囲まれた公園の中にあることもあって、地域の子どもたちもたくさんいらっしゃる水族館です。なので、施設内は水槽が低い位置にあり、お子さまでも魚が見やすいような設計になっていたり、エレベーターが降りる時に深海に潜り込むようなアトラクション風の演出があったりと、見どころが多いんですよ。
金子:最初は「なんで魚ではなく貝の企画展なんだろう!?」とびっくり(笑)。ですが、写真映えする、ザ・デートスポットの水族館との差別化として、しながわ水族館はこれまでにも面白いニッチな企画展を開催してきたことを知り、しながわ水族館ならではの企画展なんだなと思いました。
——企画展の中で特に心をつかまれた展示は何でしたか?
森川:ヒオウギガイの貝殻の展示です。ヒオウギガイは虹色貝とも言われていて、黄色っぽいものもあればオレンジや紫などさまざまな色の貝があるんです。でも、なぜいろんな色になるのかは解明されていなくて。それがすごく面白くて印象的でした。
金子:私は貝について知らなかったことが多すぎて、驚きの連続でした。特に真珠を取り出す方法が印象的で。「こんなところから取り出すんだ!」と衝撃を受けました(笑)。
森川:あと、アサリなどの殻に穴をあけてを溶かして食べてしまう肉食系の貝がいることにも驚いたよね。しながわ水族館には貝に精通した飼育員さんがいらっしゃるんですよ。今回うかがった貝のお話は、ほぼすべてが知らない話だったので、貝のセカイってこんなに深いんだと驚きの連続でした。
——企画展をPRをするにあたって、どのように考えていきましたか?
森川:企画展自体は遊び心や学びがあるユニークな内容だったのですが、ただ普通に告知するだけだとたくさんの情報が届くメディアの方の目には留まりづらいなと思いました。そのため、メディアの方に対する企画展の見せ方や体験内容を工夫してインパクトを与える必要があるなと。
金子:メディアの方の中には、しながわ水族館のことを知らない方もいらっしゃって。なので、水族館自体の魅力を伝えた後に企画展の紹介をすることで、メディアの方のしながわ水族館に対する理解を深めていただこうと考えました。
森川:施設内にはパネルの展示も多く、来館された方が学びを得られるような工夫がたくさんありますよね。プレスデーでは、企画展の内容だけでなく施設全体の面白いポイントやこだわりも伝えられるような設計にしました。
インパクト大!言葉遊びを施した案内状を作成
——「カイつまんで、ヒモときます。~しな水の貝展~」のPRで工夫した点はどこですか?
森川:まずプレスデーの内容について、企画展のご説明をする前に「しながわ水族館とは?」を知っていただく内容に設計しました。企画展のご説明についても、飼育員の方にご協力いただき、貝の豆知識を紹介してもらうことで、自分たちが面白いなと感じたことそのままメディアの方々にも感じてもらう工夫をしました。
そして、そのプレスデーをメディアの方に案内する取材案内状もこだわりをもって作成しました。例えば、企画展のタイトルにちなんで、プレスデーの名称を「プレス体験会」ならぬ「プレス体験貝」にしたり、「読みたくなる “貝説 ”や 一風変わった展示を“展貝”します。」など言葉遊びを取り入れて面白さを出すことで、メディアの方の印象に残りやすいものにできたと思います。体験“貝“当日には、「案内状も面白かったね」という声が聞こえてきて嬉しかったです。
金子:しながわ水族館さまには、特定の年代をターゲットにするというよりは、いろんな年代の方に来てほしいという思いがあったので、お出かけ情報を取り扱うメディアや女性向けメディアなどターゲットを幅広くとって取材案内をさせていただきました。ファミリー向けの媒体にはお子さまと楽しめるコンテンツがあることをアピールしたり、女性向けメディアには写真映えするスポットを伝えたりと読者層に合わせた情報を伝えるようにすることで、幅広い層にリーチできたのではないかと思います。
森川:しながわ水族館では2月にゴマフアザラシの赤ちゃんが誕生したことも話題になっていた ので、企画展以外の見どころも一緒に伝えることで、相乗効果も生み出せたと考えています。
——メディアの方やお客さまからの反響はいかがでしたか?
森川:体験“貝”当日の飼育員による貝の豆知識を話してもらうパートでは飼育員の熱のこもった説明に対して、メディアの方からも感嘆の声が上がっていて手応えを感じました。
金子:ゴマフアザラシの赤ちゃんの誕生などの相乗効果もあって、3月の来館者が例年よりも増えたそうです。年間で一番来館者が増える夏休みの8月に次ぐほどに来館者が伸びたというのは嬉しかったですね。
森川:水族館の方が品川区の方に本企画展の報告をした際にも、とても良い反応をいただいたそうで。その報告をいただいたときはすごく嬉しかったですね。
人に話したくなるポイントを作ることが大事
——人を動かすPRを実施するために日頃から意識していることを教えてください。
森川:僕自身も休日は企画展や展覧会に足を運ぶんですけど、行き先を決めるときの基準が「話のネタになりそうなもの」なんですよね。なのでPR施策を考えるときも、思わず人に話したくなるようなポイントを作ることは意識しています。
今回は案内状に言葉遊びを入れるという工夫をしましたが、従来の手法にとらわれず、どんどん思いついたことをやってみたいですね。メディアの方向けの文書をすごく派手なデザインにしてみるとか(笑)。ツッコミどころを作るというのは、これからも続けていきたいです。
金子:わたしも一人のお客さんとして展示会や美術館などに足を運ぶときには、「何かひとつでも学びがあればいいな」と思っています。本企画展はたくさんの貝にまつわる知識を提供していて必ず学びが得られるはずなので、その面白みが伝わっていたら嬉しいです。
——最後に、今後の意気込みも聞かせてください。
森川:僕は昔から自分が好きなものや良いと思ったものを人に教えることが好きだったんですよね。「この芸人さんこれから売れそうだから見てみて」とよく友達に話していました(笑)。その気持ちが自分のPR業界を志望したルーツになっているので、今後も世の中の人に知ってもらいたい情報を上手く広めていく仕事ができたら良いなと思います。
金子:わたしはやりたいと思ったプロジェクトを担当させてもらえることが多くて、本当に今の環境に感謝しています。PRという仕事が好きだなと改めて感じているので、引き続き今後も頑張っていきます!
展示タイトルに合わせて遊び心あふれる案内状を作成するなど、PR施策に散りばめられた仕掛けは、まさに“たのしいさわぎをおこしたい”サニーサイドアップならでは。今後はどんな“たのしいさわぎ”が待っているのでしょうか?
そして、しながわ水族館の「カイつまんで、ヒモときます。 ~しな水の貝展~」はこの後、5月6日(月・振)まで開催中です。ぜひ一度足をお運びください。
<「カイつまんで、ヒモときます。 ~しな水の貝展~」開催概要> タイトル:カイつまんで、ヒモときます。 ~しな水の貝展~ |