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2021年のエイプリルフールの傾向は?PRプランナーが注目した4つのネタをご紹介!

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亀山一樹(パブリックリレーションズ事業本部 アカウントプランニング局)

読者の皆様、こんにちは!

そして、ご無沙汰しております。サニーサイドアップ プランナーの亀山です。

昨年末は流行語大賞をPRプランナー目線で見ていきましたが、

2020年の”本当のトレンド”とは?サニーサイドアップのPRプランナーが見る流行語大賞!https://blog.ssu.co.jp/pr_methods/18548/

今回は2021年の企業のエイプリルフールネタについて見ていきたいと思います!

まずは2021年のエイプリルフールネタをご紹介!

早速、いくつか事例をピックアップしてご紹介します。

❶巨大チロルチョコの受注生産開始!?

チロルチョコが巨大だったら、どれだけ幸せか…。

(出典元 Twitter:チロルチョコ @TIROL_jp)

小さい頃は大人買いしたかった、誰もが抱いたチロルチョコを満腹になるまで食べたいという欲求を表現した、かわいらしいエイプリルフールネタです。

❷サッポロポテト新フレーバー発売!?


(出典元 Twitter:サッポロポテト公式 @CalbeeSapporoCP)

今までなかった新フレーバーをエイプリルフールネタとして3種類提示しました。そのフレーバーが現実味を帯びているため、実は反応が多かったフレーバーを後日実現するところまで計算しているのでは?と勘ぐっています。エイプリルフールの時は分かりやすい程に現実離れしたフレーバーにすることでより面白くなるのですが、2段階の展開を期待させるエイプリルフールネタでした。

❸トリキの香りがするデフューザーが発売!?


(出典元 Twitter:鳥貴族 トリッキー @_torikizoku)

家でも居酒屋鳥貴族の香り(焼き鳥の甘辛い香り)が楽しめる、トリキファンには嬉しい!?デフューザーで、❷と比較して分かりやすい嘘のエイプリルフールネタでした。

❹動物ネタのエイプリルフール大集合!!


(出典元 Twitter:Coleman Japan(コールマンジャパン公式) @Coleman_Japan)


(出典元 Twitter:ハロー!ダイハツ【ダイハツ工業公式】@HelloDaihatsu)


(出典元 Twitter:第一石鹸株式会社【公式】@daiichisekken)


(出典元 Twitter:マウントレーニア(Mt.RAINIER)@mtrainier_jp)


(出典元 Twitter:サブウェイ@subwayjp)

嘘でも癒されるネタとして、動物は強いですね。パッと探しただけで、これだけの企業が動物関連で実施していました。嘘と分かったときのガッカリ感よりも、動物の可愛さが増して、読後感として温かい気持ちになるので、エイプリルフールネタとして炎上リスクも少なく安全だと思います。

ちなみに、エイプリルフールネタではありませんが、弊社でも”ワンちゃん”が社長になったことも・・・

2018年は戌年!創業メンバーが全員”ワンちゃん”の新会社「サニーサイドドッグ」設立!?
https://blog.ssu.co.jp/blog/13669/

企業のエイプリルフールネタ発信は大人しくなった!?

ここ数年、企業のエイプリルフールネタ発信は少なくなったように思われます。

1日で多くの人へリーチできる広告媒体として有力なのは新聞広告で、中でも5大全国紙(朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、産経新聞、日本経済新聞)は、読者数の多さから注目されやすいです。新聞広告の中でも全15段(1頁)と全30段(2頁)は全面使った表現ができ、インパクトのある訴求が可能です。ただ、今年の5大紙には、全15 or 30段サイズでのエイプリルフールネタ訴求の広告は見受けられませんでした。

また、デジタル広告だと、Twitterの検索欄に1日ファーストビュー表示(Twitterの検索タブの一番上の位置に表示)される広告メニューがありますが、そちらもエイプリルフールネタではありませんでした。

これには2つの事象が原因として挙げられます。

1つは、”ブランドは生活者の頭の中にある”ということ。
2つは、”SNSでの企業炎上”。

2つの事象について、ご説明していきたいと思います。

ブランドはもはや作れるものではない!!

昔は、今ほど情報が多く流通していませんでした。この変化は、インターネットとスマホデバイスの普及によるものです。どれだけ情報量が増加したかというと、1984年には月間17ギガバイトだった世界のデータ流通量が、2017年にその約70億倍の122エクサバイト(1,220億ギガバイト)にまで増えました。さらに、2021年には、2017年の2.3倍の月間278エクサバイトまで増加すると予測されており、インターネット通信技術・IoT化が情報量の増加を推進しています。(出典:Cisco Visual Networking Index Global IP Traffic Forecast, 2016-2021” (Cisco))

この情報量の変化が、ブランドとどんな関係があるのかと思いましたか?実は、とても関係しているのです。人の情報処理能力も、情報量に合わせて伸びているのですが、それでも情報量の増加と比較すると、微々たるものです。もはや現代人は世の中に流通している情報量を処理しきれておらず、どうしても取捨選択をしなければいけないです。

だからこそ、昔の情報量が少ない時代では、市場もコモディティ化が起きていないこともあり、企業発信の情報(≒広告)が受け入れられていました。広告は生活者が必要とする情報であれば、強制的に見せられるTVCMや新聞広告などでも今ほど”悪者”扱いされていませんでした。そのような状況だからこそ、ブランドに関する情報は、企業の発信する情報が生活者にとっては全てで、ブランドイメージは企業発信で作れるものでした。

一方で、現代においては、情報量が爆発しているからこそ、広告のような企業発信の情報は、”悪者”扱いされがちです(もちろん、コンテンツとして楽しめるものは受け入れられますが、情報処理に忙しい現代人に広告枠は基本的に悪者=邪魔なものです)。

また、ネットで検索すれば欲しい情報は見つかる、口コミサイトやSNSを見れば、リアルな情報が手に入ります。そのため、企業はせっかくお金を払って広告を出したとしても、SNSなどの生活者発信の情報の方がよりリアルで重宝され、広告による情報は流されてしまいます。

結果、ブランドイメージは企業発信では作れず、生活者がそれぞれの接点で入手した情報により、生活者の頭の中で醸成されます。

もはや、ブランドは作れるものではなく、生活者に委ねられています。

SNSでの炎上案件が増えてきた!!

SNSが普及し始めて久しく、SNSがコミュニケーションインフラとなってきました。SNSが出始めたときは、個人間のコミュニケーションを楽しむツールだったのが、個人-企業間のコミュニケーションツールとしても使われるようになりました。そして、SNSは知り合い同士で主に利用されていたのが、共通の趣味や関心事のある赤の他人とも気軽にコミュニケ―ションを取るツールとしても使われるようになりました。

SNSの利用者、利用シーンが広がることで、情報源として世間やメディアからの注目度は高まり、SNSが情報の起爆剤となることが増えていきました。

同時に、企業発信の広告(メッセージやビジョンなど)と現実の乖離や、企業の裏側も世の中に発信・共有されるようになり、企業活動の透明性や誠実さは強く求められるようになります。

これらのことを企業のマーケティング部や広報部は理解していても、従業員全員が理解してはおらず、これによりSNS発の企業の炎上案件は絶えることはありませんでした。

他にも炎上の要因はあり、情報の民主化と価値観の多様化が挙げられます。

先のように生活者発信の情報がより重宝されることで、生活者が情報強者となりました。そして、SNSで生活者が1つの主張を大勢で発信・支持することで、世の中や企業を変えていった実績が積み上がり、情報は企業や政府だけでなく、生活者にも平等に扱われるようになりました。これが情報の民主化です。

インターネットの普及などの技術革新により、地理的に隔たれていた海外の国ともコミュニケーションが取れるようになり、思想や価値観のグローバリゼーションが起きました。海外の価値観も日本に受け入れられ、それがSNSを通して浸透し、日本の従来の固定観念や偏見は批判されるようになりました。古い価値観のままの企業やブランドは、火の元になりやすく、価値観の多様化を受容することが重要です。

エイプリルフールに企業はチャレンジしにくくなった…

”ブランドは生活者の頭の中にある”ということ、”SNSでの企業炎上”ということがあり、エイプリルフールに企業が思いっきりふざけても、良いブランドイメージの醸成は難しいどころか、炎上に繋がるというリスクの方が大きく感じられ、結果、企業はエイプリルフールにチャレンジしにくくなりました。

新聞 は情報の信ぴょう性を重視される”真面目な媒体”で、エイプリルフールとは親和性が高くありません。一方で、Twitterは面白いことをみんなでシェアする、さらに面白くしていくという独特の文化があり、エイプリルフールとの親和性は高いです。

企業公式アカウントとして、投稿するだけなら媒体費は掛からないため、新聞広告以上にチャレンジしやすいのがTwitterという媒体で、2021年のエイプリルフールネタで目立ったのはTwitterでした。

企業はそもそも、エイプリルフールネタをする必要があるか?

そんな中、果たして企業はエイプリルフールネタを発信する必要はあるのでしょうか。これだけ企業発信の情報が信用されづらく、炎上リスクのある企業のお遊び発信をするには、2つメリットがあると考えられます。

1つ目は、ブランドイメージの強化です。そもそもブランドイメージが”面白い”、”親近感がある”、”明るい”、”ユーモアがある”といった企業や商品は、このお遊び発信が受け入れられやすい土壌が出来ていますし、それにより、ブランドイメージをより強固に出来ます。

個人的には、お菓子や玩具、ゲームアプリなどは比較的実施しやすいかと思います。

2つ目は、情報発信のネタ作りです。商品やサービスの新情報やリリースネタがない時に、PR会社としては”メディアフック”や”PRフック”という言葉を使うのですが、新しい切り口や視点でパブリシティ獲得に繋がる情報開発をします。

新規性(日本初)や限定感(U29限定)などの情報が、テレビやwebメディアの記事でも良く見られますが、それは人の興味を引くからです。今回のエイプリルフールというのは、メディアフックの中の1つで「季節性」というものになり、エイプリルフールの文脈に乗った情報であれば、4月1日だからこそ価値のある情報になります。そして、他のエイプリルフール関連の情報とまとめて、報道されたり、話題になったりするため、この「季節性」は情報発信のネタ作りでは重要な要素です。

今後、メディアフックについても解説していきたいと思います。ちなみにですが、情報開発については、以前他メンバーによるこちらの記事でも解説しています!

『”価値ある情報”を生み出す、PRにおける「情報開発」とは?』
https://blog.ssu.co.jp/pr_methods/18287/

これら2つの要素があり、企業や商品ブランドとしては、情報発信の良い機会であり、ぜひぜひ活用して欲しい行事でもあります。

最後に、面白い2021年のエイプリルフールネタの紹介!

PR TIMES「4月1日。April Foolを、April Dreamに。」

プレスリリース配信事業のPR TIMESですが、4月1日の日経新聞に下記のクリエイティブで新聞広告を掲載しました。

(画像出典:PR TIMESより)

「ウソつきをヒーローにしよう。」というキャッチコピーですが、これがとても秀逸だなと思いました。FoolとDreamの音の並びは心地よいのですが、それだけではなく、きちんと言葉の意味としても今の時代の空気感が反映されたコピーだと感じます。人の夢はまだ実現されていない、未来の目標ということですが、それが達成されなければ、戯言でもあり、下手したらウソつき呼ばわりもされてしまいます。それでも、夢を口にする人や企業を応援する、エンパワーメントするのがプレスリリース配信事業のPR TIMESという、きちんと自社サービスにも繋がっているメッセージです。

企業にとってエイプリルフールネタで情報発信しづらくなった中で、真逆の真面目路線でエイプリルフールに情報発信したくなる企画を打ち出したのは、とても良い視点だなと思いました。

締めに…

サニーサイドアップとしては、幅広い業種のお客様のリテナーでのPR活動をサポートさせていただいております。その中で情報発信するネタに困ることが多々ありますが、今までの経験からあらゆる視点で情報開発をしてきました。

同じようにお困りの企業の宣伝部や広報部の方など、是非お気軽にお問い合わせいただけたらと思います。

最後まで、記事をご一読いただきましてありがとうございました。また、次の記事もしくは、実際のお仕事でお会いしましょう!

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亀山一樹(パブリックリレーションズ事業本部 アカウントプランニング局)

広告代理店出身、SSUには入社して丸5年が経過。30歳を過ぎ、痩せられないこととついつい深酒してしまうことが悩み。最近は「かわにしなつき」さんが推しです。彼女の素敵なパーソナリティと凛とした歌声が魅力です。このブログ記事を見ている時間があったら、曲を聞いてください。

※所属は執筆時と異なる場合があります

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