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2020年の“本当のトレンド”とは?サニーサイドアップのPRプランナーが見る流行語大賞!

読者の皆さま、こんにちは!

サニーサイドアップ プランナーの亀山です。今回の記事ではタイトルの通り、2020年の流行語大賞について”PRプランナーの目線”で感じたことを書いていきます。

画像出典:ユーキャン新語・流行語大賞HPより
https://www.jiyu.co.jp/singo/

年末の風物詩、流行語大賞とは

年末の風物詩ともいえる「流行語大賞」の正式名称は、「2020 ユーキャン新語・流行語大賞」。その年の1年間に発生した「ことば」の中で、多くの人の目・口・耳をにぎわせた新語や流行語を選ぶとともに、その「ことば」に深く関わった人物・団体を表彰する賞です。

1984年に始まったアワードで、ユーキャンは2003年から協賛を開始し、2004年から現在のアワード名に改称しています。

アワード名にスポンサー名が入ることで、TVやWEBを始めとしたメディアに露出される際に、スポンサー名も毎回露出されるため、その広告宣伝効果はとても大きなものになります。

今年の流行語大賞は、コロナ関連ワードが並ぶ

今年の流行語大賞を「コロナ関連」「エンタメ」「その他」の大きく3つにジャンル分けしました。

【コロナ関連:19語】
「愛の不時着/第4次韓流ブーム」「新しい生活様式/ニューノーマル」「アベノマスク」「アマビエ」「ウーバーイーツ」「エッセンシャルワーカー」「おうち時間/ステイホーム」「オンライン◯◯」「クラスター」「GoToキャンペーン」「3密(三つの密)」「自粛警察」「Zoom映え」「総合的、俯瞰的」「ソーシャルディスタンス」「ソロキャンプ」「テレワーク/ワーケーション」「濃厚接触者」「PCR検査」

【エンタメ関連:8語】
「あつ森」「顔芸/恩返し」「鬼滅の刃」「香水」「時を戻そう(ぺこぱ)」「NiziU(ニジュー)」「フワちゃん」「まぁねぇ~(ぼる塾)」

【その他:3語】
「AI超え」「カゴパク」「BLM(BlackLivesMatter)運動」

参照元:https://www.jiyu.co.jp/singo/

コロナ関連ワードが19語。広告やPRの領域においても、時流やトレンドに合わせたメッセージや文脈で情報発信することが多く、コロナ関連の話題を付随することが多かったです。そうすることで、メディアと消費者の関心や共感を集め、社会的な気運をつくり出すことがしやすいためです。

このあたりの「PRストーリーづくり」については、こちらの記事にも書かれているので、ぜひ併せてご一読ください!

流行語大賞と今のメディア状況の関係性

これまでの流行語を振り返ると、徐々にエンタメ関連のことば、テレビ発のことばのノミネートが減ってきました。広告業界でいくと、東進ハイスクールのTVCMでのセリフ「今でしょ!」が2013年に大賞を受賞している程度です。

エンタメ関連のノミネートが減少しているのは、ネット/スマホの普及、メディアの分散化、価値観の多様化などが要因だと考えられます。

それにより、昔のような誰もが知っている“マストレンド”は生まれづらくなり、同じ価値観や趣味を共有し合う属性内での“クラスター内トレンド”が乱発するようになりました。

ただ、TV番組の視聴率や新聞・雑誌の購読者数も全体的に下がりましたが、その分WEBメディアに全て移行したかというとそうではありません。

❶人の価値観やニーズが多様化
❷多様化したニーズに応えるようにニッチなメディアが増加
❸スマホによるメディア接触状況のマルチデバイス化、
❹オフラインメディアのWEBメディア(サービス)化

これらの❶-❹が起きたことで、1つのメディアのリアルタイムでの接触数が分散化したのです。

ネットとスマホの普及で、ほとんどのメディアコンテンツがいつでもどこでも見られるようになり、TVドラマの情報をTwitterで知ったり、まとめ動画をYouTubeで見たりするようなことも起きました。

今年のノミネートの中に「愛の不時着/第4次韓流ブーム」がありますが、これは”クラスター内トレンド”が様々な属性で起きたことで、最終的にマストレンドにまで伸びたのではないかと思います。

マストレンドにまでコンテンツや事象を持っていくには、話題化のストーリー(導線)作りが必要で、複数メディアでのパブリシティ(およびSNSへの話題波及)がカギとなります。

そもそも、TV/VODのドラマは決まった時間に連続して映像コンテンツを配信するため、視聴者のリテラシーや理解力が少なくとも、継続的な話題化を起こしやすいです。

映像コンテンツに関しては、雑誌やWEBの連載と比較して、文章だけよりも感情に訴えやすいため、共感や感動を生み、SNS上で多く投稿されます(TVの場合は、CMというSNS投稿タイムもありますが)。

2019年末ごろからカンヌ映画祭で最高賞を受賞した韓国映画「パラサイト 半地下の家族」が日本でも公開・注目され、韓国の映像作品への日本人の期待値が高まっていたタイミングで、NETFLIXでは「愛の不時着」、「梨泰院クラス」が配信されました。そして、その配信期間にコロナで外出自粛となり、家で消費できる優良コンテンツの代表格となったのはVODの韓流ドラマでした。日本人にとっては、当時十分な撮影が出来ず新しい作品を配信できなかった日本のTV番組に代わり、VODで配信される海外の作品が”家で楽しむ最高のエンタメコンテンツ”となったのです。

こうした他のコンテンツのヒットや社会背景が重なり、「映画好き」「ドラマ好き」「韓流好き」などの様々なクラスターで話題になり、結果多くのメディアで取り上げられ、マストレンドへと伸びたと考えられます。

PRの仕事においても、メディアと社会の現状を把握した話題化のストーリー設計をすれば、マストレンドにまで伸び、流行語大賞を獲れることは可能です。ただ、それがとても難しいのですが…。

SSUプランナーが選ぶ、コロナ禍というアゲインストでも飛距離を出した、PR企画ドラコンTOP3!

ここからは誠に勝手ながら、個人的にコロナ禍の文脈の中でも面白かったPRの企画を3つご紹介させていただきます!(先日、2020年初ゴルフをしたばかりでして、こうしたサブタイトルでお送りします…)

話題化ドラコン3位「パンテーン 『#部屋 We Go』プロジェクト」

画像出典:「#部屋WeGo」HP
https://pantene.jp/ja-jp/hair-we-go/heyawego

パンテーンは、2018年から「#Hair We Goさぁ、この髪でいこう。」という一人ひとりの髪の個性について考えるきっかけづくりのキャンペーンを展開していました。

このコロナ禍で外出自粛が要請された中、家で過ごす時間が長くなっていた4月末の時期に、おうち時間を少しでも明るく前向きに過ごせるようなメッセージとコンテンツを発信しました。
コンテンツは「美容院に行けず不満を抱えていた人向けのヘアケアやヘアアレンジ方法」と、消費者にとって必要なものではあるのですが、何よりもこのプロジェクト名の巧妙さが目立ちました。

元々の「Hair We Go」から「部屋 We Go」へと、コロナ禍の状況に合わせたアレンジが良く、耳に残ります。今でも企画会議でこの企画はよく話に上がるので、本当に素晴らしいアイデアだと思います。

話題化ドラコン2位「ポカリスエット新CMシリーズ『NEO合唱』」

https://www.otsuka.co.jp/adv/poc/tvcm202004_02.html

ポカリスエットは、ここ数年、10代の青春をテーマにCMを展開していましたが、今回のCM第1弾公開日は、4月のコロナ禍が流行して緊急事態宣言が発令されたタイミングでした。

この時期はとにかく”自粛ムード”で、企業のコミュニケーションは難しかったのですが、新しいコピーは「渇きを力に変えてゆく。」というもの。ポカリスエットの商品特徴と社会情勢の両方を上手く捉えた言葉に、自分は唸りました。

また、元々予定していた500人が一堂に集まって合唱するという、まさに禁止されていた”密”を表現するものを、学生の自撮り動画を1つにまとめて編集する企画に急遽変更しました。

キャッチコピー・映像が、その時出来る最大限に共感を生む表現で、学生時代にキラキラした青春を過ごしていない自分でさえも感動しました。CMやYouTubeを見た人はきっと心動かされたと思いますし、広告や映像制作という手法ですが、この企画はPR発想のある企画だと思いました。

話題化ドラコン1位「エッセンシャルワーカー」

流行語大賞にもノミネートされているこの言葉は、PR発想のある言葉であり、企画だと感じました。コロナ禍では、規制で生まれたキーワードやネガティブな言動が世の中に溢れる中、「エッセンシャルワーカー」はとてもポジティブな言葉でした。

エッセンシャルとは、「本質的な、必要不可欠な」という意味で、コロナ禍でも営業を停止できない、人々の生活を支えるためには働かざるをえない職業の方をエッセンシャルワーカーと呼称します

普段は、”縁の下の力持ち”というか、スポットライトが当たりづらい”当たり前を支える仕事”に光を当てることで、世の中が注目。あらゆる企業が支援をしたり、人々が感謝を伝えたりしやすくなりました。

このエッセンシャルワーカーという言葉を最初に作った人は、どなたかは分からないのですが、もし該当する職業の方を応援したい意図で作られたのであれば、名コピーライター、PR発想力のある人だと思いました。

元々、取り上げてもらいたい情報に関連する情報をまとめてメディアに発信することで、“盛り上がっている““注目されている“空気感を演出するPRテクニックがあります。

このエッセンシャルワーカーということばや考え方も、医療従事者やスーパーの店員さんのような職業をまとめて発信し、社会全体から応援・感謝されるようにするために創られたのであれば、素晴らしい発想だと感じました(普通に嫉妬です)。

以上、亀山が勝手に選ばせていただいた、コロナでも話題になったPR企画ドラコンTOP3でした!

PRは、ターゲット内での流行語を獲れれば良い!

ここまで、マストレンドになるまでについて書いてきましたが、PRにおいては、マストレンドになることがすべてのゴールではありません。

自社のブランドやサービスのターゲットは、もはやマスであることが稀になり、狙ったターゲット内での話題化・クラスター内トレンドさえ起こせればよいことの方が多いです。それは、前述のとおり価値観の多様化、そしてサービスが飽和していることで、企業・商品自体もニッチな特徴でUSP(Unique Selling Proposition=独自の強み)を出さなければならなくなりました。

PRコミュニケーションの戦略設計では、セグメンテーションしたターゲットに合わせて、メディア選定と話題化のストーリー設計が必要です。もちろん、マストレンドにまで伸ばせることに越したことはないのですが、そこまで予算を掛けることの費用対効果は良いかというと、微妙なところです。
変化の激しい時代からこそ、”はるか遠くの大きなマストレンド”を目指すよりも、まずは”目先のクラスター内トレンド”をゴールにして、出来ることを着実にしていきましょう。その積み重ねの結果、マストレンドにまで発展したりします。

長々と、流行語大賞とPRについて書かせていただきましたが、最後までご一読いただいた皆さま、ありがとうございました。サニーサイドアップでは、あらゆる業種での“たのしいさわぎ”をおこしてきた実績がございますので、ぜひぜひお問い合わせくださいませ。https://www.ssu.co.jp/contact/

次の流行語は、すでにあなたのそばで生まれているのかも知れません。


 

この記事を書いた人:

サニーサイドアップ アカウントプランニング部 プランナー
亀山 一樹

プランニングスキルを習得するべく、中途でサニーサイドアップに入社して2年が経過。元乃木坂46の白石麻衣・ホストのローランドと同じ平成4年生まれの世代だが、彼らほど世の中へインパクトを与えられていない自分に焦りを感じている、今日この頃。一番の推しは日向坂46の東村芽衣ちゃんです。皆様、めいめいの応援をよろしくお願いします。

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