世界を変えるPR発想。PRだけでなく広告でも意識されている大切な考え方とは?
今の時代に即したPR手法やブランディング、マーケティングのノウハウなどを読み解く連載「SSUのPRメソッド」。今回は、「PR発想・ニュースバリュー」について、一部個人的な見解も交えてですがお話しさせていただきます。
前回までのPRメソッドはコチラから。
■PR発想とは
まずはじめに、前回の記事でもお伝えしたように、PRとはパブリックリレーションズの略で、あらゆるステークホルダーとの良好な関係構築という意味です。そのため、PRはパブリシティ(露出)という手法ではなく、発想であり概念です。
前回の記事はコチラから。
意外ときちんと説明できない!?PRと広報の違い、PRと広告の違いとは?
上記のご理解があった上で、端的に申し上げると、PR発想とは「社会と商品・サービスを”接着”させること」です。PRでは(主にメディアを通じて)あらゆるステークホルダーに情報を届ける際に、商品やサービスを社会と適した文脈で結ぶこと(接着)を意識する必要があります。その文脈作りによる情報発信が時に大きな話題を生み、時には社会や世界を変えることもあります。
■PR発想に関わる世の中の3つの変化
このPR発想が今、PRだけでなく広告の領域でも意識されているように思います。
では、なぜ意識されているのでしょうか。それは、世の中の大きな3つの変化があります。
1.情報爆発
世の中に流通する情報量が爆発的に増加し、人が受容できる情報量の上限を超えている
2.コモディティ化
先進国である日本では、多くの市場で特徴の類似した商品が並び、機能的価値による差別化は難しい
3.SNSの普及
SNSが普及し、企業やメディアだけでなく、生活者発のコミュニケーションが盛んになった
これらの3つの変化が背景にあり、”企業主語”の”情報発信”では届きづらく、”第三者主語”の”情報拡散”が届きやすくなっています。
情報爆発の時代だからこそ、企業主語の情報は簡単に流されてしまう一方で、メディアやインフルエンサー、家族・友人からの情報は受け止められやすいです。例えば、SNSのタイムラインを見ていて、目に留まるのは仲のいい友達の情報や信頼のおけるインフルエンサーの投稿ですよね。
広告にも第三者が情報拡散する形式をとるものもあるため、この話は決して「広告が機能しづらく、パブリシティが有効」という話ではありません。一番にお伝えしたいのは、第三者が情報を拡散したくなるようなストーリー(文脈)がとても重要であるということです。
PR発想には、このストーリー設計が常に根底にあります。PRの手法としてやはり大きいのはパブリシティですが、メディアに取り上げられるためには、“いま報道・取材する理由”を意識して企画を考えます。
■メディアフックで最重要なのは”社会性”
第三者が情報を拡散したくなるには、情報にどんな要素があるとよいか考えます。PRの世界では、その要素のことをメディアフックやメディアバリューなどといった呼び方をしています。
以前、ニュースレターの書き方に関するブログで、メディアフックの8つの要素についてご説明しましたが、更にPR発想の文脈で語る上で少しアップデートしたご説明をします。(※実はこの説明をきちんとしたく、あえて前回は8つの一般的な要素しか上げませんでした。)
ニュースレターの書き方に関するブログはコチラから。
パブリシティ獲得の確度が高まるニュースレターのための8つのメディアフック サニーサイドアップ流 虎の巻(ニュースレターの書き方ver)を伝授!!
以前ご説明した希少性や新規性以上に、今最も重要な要素が「社会性」です。SDGsの普及、価値観の変化、新型コロナウイルスの流行で、「社会性」のある情報への関心度が高まり、あらゆる企業活動の情報発信において、とても重要になってきました。
「社会性」には、社会情勢(社会の経済動向や世の中の空気感)・社会的課題(SDGsや、アンコンシャスバイアス(無意識の思い込みや偏見など)による問題)・生活者インサイト(社会情勢や社会的課題による生活社の不満・不足・不安など)の3つがあると考えています。
コロナ前では、従来の8つの要素と同列で「社会性」も意識されていましたが、コロナ後の現在では「社会性」が前提としてあり、その上で8つの要素があればあるほど、情報の価値が高まるという風に変化しています。
このメディアフックを意識しつつ、2つのPRストーリー設計のポイントをお伝えしていきます。
■PRストーリ―設計の2つのポイント
– PRストーリー設計の考え方❶”問い”と”答え”、”順張り”と”逆張り”
商品やサービスが答えとなるような、社会性のある問いかけを作るという考え方です。”今世の中では、このような社会課題がありますよね”、”あなたはこんな問題を抱えていませんか”といった問いかけを作り、その問題や悩みを解決するのが商品やサービスであると位置づける考えです。
8つの要素は、追加のメディアフックであり、あった方が話題になりやすいというものです。
また、商品やサービスを問いかけの答えとして位置づける際に、位置づけ方が2種類あり、”順張り”と”逆張り”です。
順張り
社会的事象/課題や生活者インサイト、トレンドに“則ったもの”として商品やサービスを位置づける。
逆張り
社会的事象/課題や生活者インサイト、トレンドの“反対のもの”として商品やサービスを位置づける。
– PRストーリー設計の考え方❷withコロナ時代の3S
「Stance」「Story」「Speed」の3つの単語の頭文字を取って、3Sと言っているのですが、この3点を意識すると、PRストーリーを設計しやすいです。
Stance
企業やブランドが社会的課題に対して「どう向き合っていくのか/共存していくのか」、その“姿勢”を(施策を通して)伝えていくこと。
Story
社会課題や時代の流れ、トレンドを意識しながら、「企業がどのような道を歩んできたのか、その商品開発にどのような背景があるのか」などを見せること。
Speed
世の中の出来事や社会的課題が発生、顕在化したタイミングを逃さずに、企業や製品と関連させた情報発信を早いタイミングで行うこと。
メディアフックを意識して、”問い”と”答え”を作るか、3Sでストーリー設計をするかということです。もちろん、❶と❷の両方ともあればよいですが、どちらかだけでまずは考えてみるのがおススメです。結果として、3SのうちStanceができていたということもありますので。
じつは、今回の記事に書かれている内容は、以前他メンバーが書いた記事で、所々ご説明しておりました。それをPR発想の説明として流れにまとめたのが今回の記事ですので、気になった方は、過去の記事もご参照いただけますと幸いです。
サニーサイドアップが考える「PR」とは?今重要視されているPRを徹底解説!
ストーリーが無ければ人は動かない?「PRストーリーの作り方」
今回の記事のまとめになりますが、PR発想のコミュニケーション設計において、もはや欠かせないものとなっております。ですので、ぜひ意識していただければと思いますし、少しでもそのご理解の一助となれば幸いです。
本ブログ記事を読んでなんとなく理解できたけどもっと理解したい、事例を交えて分かりやすく説明して欲しい、という方がいらっしゃれば、よろしければ私が講義をさせていただきたいと思います。
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それでは、また次回以降のブログでお会いしましょうー!
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