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MLB.com日本版のコンテンツ制作を担当して、ワールドシリーズ現地でみえた“MLBの真価”とは

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二宮祐輔(パブリックリレーションズ事業本部 5局スポーツ)

こんにちは。こよなく野球を愛する、パブリックリレーションズ事業本部5局スポーツの二宮です。

日本中の報道・情報番組の話題を席巻しているロサンゼルス・ドジャースのワールドシリーズ連覇。大谷翔平選手、山本由伸投手、佐々木朗希投手の日本人選手3名がチームの快進撃を支え、13試合ものMLBポストシーズンを戦い抜きました。

さらには山本投手が、松井秀喜さん以来となる日本人史上2人目のワールドシリーズMVPを受賞。そして、大谷選手が満票で3年連続4度目となるシーズンMVPを受賞するなど、日本の野球ファンにとって忘れられないシーズンとなったのではないでしょうか。

そんな歴史的なシリーズで幕を閉じたMLB2025シーズンだったわけなのですが、実はポストシーズン期間中の先月1日に、これまで英語版のみだったMLB公式サイト「MLB.com」の“日本版”がついに正式ローンチしました!

サニーサイドアップでは、「MLB.com日本版」における会員登録の開始と機能拡充に際し、サイト認知の拡大と日本のファンに向けたさまざまなコンテンツ展開の一環として、ポストシーズンを盛り上げる特別企画「My Game, My MLB」の企画立案・進行・制作・キャスティング・現地対応を担当。

本企画は、MLBファンのタレントのみなさんにMLB愛を存分に語ってもらい、野球ファンはもちろんのこと、それ以外の方々にもMLBの魅力をお届けする企画として実施。ワールドシリーズには、熱気溢れるリアルな雰囲気をお届けすべくドジャースタジアムへ動画撮影に行ってまいりました。

その模様は以下MLB.com日本版でぜひご覧ください!

MLB.com日本版:http://mlb.com

【随時更新】MLB現地観戦リポートはこちら

本記事では、初のMLB観戦がワールドシリーズと、超贅沢なMLBデビューとなった筆者が現地で感じたMLBの“スゴさ”を、野球好きPRパーソンの視点でお届けしたいと思います!

今年のワールドシリーズは、第1・2・6・7戦がカナダ・トロント、第3〜5戦がアメリカ・ロサンゼルスで開催されました。今回は、実際に足を運んだロサンゼルスでの3連戦を中心に振り返っていきます。

試合を支える柔軟な運営体制

ロサンゼルスでの1試合目となったシリーズ第3戦は、いきなりの延長18回、合計6時間39分。2018年(7時間20分)に次ぐ歴代2位の試合時間を記録しました。余談ですが、この日に国歌斉唱の大役を担ったブラッド・ペイズリーさんが歌った試合は、2018年のワールドシリーズ史上最長の延長18回を含む、すべてが延長戦になっているようです… 奇しくも、この日が歴史的な一戦となったのは彼の歌声の力だったのかもしれません…

参考記事:By dawn’s early light: Paisley’s anthems mean an all-nighter

ロサンゼルスでの1試合目となったMLBワールドシリーズ第3戦の様子

試合終了が23時半を過ぎるとてつもなく長い試合となりましたが、子どもたちも含めてほとんどのファンが最後まで試合を見届けていました。プロ野球の日本シリーズでは、第7戦までは延長12回までの規定があるためこのようなケースにはなりにくく、結果的にMLBならではの試合に遭遇したことになりました…。

日本における野球観戦は、電車やバスを利用する観戦客が多く、終電の時間に帰らざるを得ない状況になります。しかし、ドジャースタジアムの周りには、1万5000台以上が収容できる広大な駐車場が隣接しており、多くのファンが自家用車、あるいはUberやLyftなどの配車アプリを利用しているため、ほとんどの人が時間を気にせずに観戦している印象でした。

ドジャーススタジアムの周りにある駐車場の様子

ちなみにですが、試合終了後はスタジアム周辺が大渋滞に。賛否はあると思いますが、それも含めて”MLBクオリティ”でした(笑)

これだけの長時間の試合になるとさすがに現地ファンも集中力がなくなり、“早く終わってほしいムード”が漂っていました。ファンだけでなく、選手たちもツラさを感じてきている一方で、何がなんでも試合を成立させようとするMLBの強い意思を同時に感じました。

実際に、今年のドジャースはレギュラーシーズンを終えて、中1日でポストシーズンに突入し、レギュラーシーズンの勢いそのままに臨むことができていました。レギュラーシーズン勝率上位のディビジョンシリーズ(地区シリーズ)から登場したチームでも中5日。

NPBに視点を変えてみると、今年の阪神タイガースは、レギュラーシーズン最終試合からクライマックスシリーズファイナルステージまでなんと中12日。間隔が空き過ぎてしまい、シーズンの流れで戦うことがかなり厳しい状況になっていました。

これについては、雨天中止などで試合が流れた場合に次の日にダブルヘッダーで試合を消化するMLBとシーズン終盤に試合日程を振り替えるNPBという日米の大きな違いから生じる弊害と言われています。

選手のコンディションや集客面での課題など懸念はあると思いますが、MLBがいきなりダブルヘッダーを組むことができる大きな要因の1つとしてチケットの販売方法にあるのではないかと感じました。MLBでは「MLB Ballpark」というアプリが存在し、デジタル上ですべてのチケット販売および管理が行われており、柔軟なチケット流通が実現しています。

少し脱線しましたが、こうした工夫からも、MLBが試合をスケジュール内で成立させるために、いかに柔軟な運営体制が築かれているかということを感じました。

MLBのチケット販売・管理を行う「MLB Ballpark」というアプリ

完全デジタルチケット制を導入することで、日本で大きな問題になっている転売対策も一気に改善していけるのではないかと思います…

MLBの“ファンを楽しませる仕掛け”がすごい

MLBの柔軟さは、運営体制だけでなく、“ファンを楽しませる仕掛け”いわゆるファン体験の面からも強く感じることができました。中でも印象的だった3つの要素をご共有します。

 

■ファンを惹きつける“限定グルメ”

 

まず1つ目は、スタジアムグルメ。

通常時でも多彩なグルメがスタジアムのいたるところに点在しており、それだけでも十分に楽しめます。この点はNPBも同様ですが、これだけに留まらないのがMLB。それが「ポストシーズン限定グルメ」です。

もちろん各スタジアムでそれぞれメニューの種類は異なりますが、ドジャースタジアムでは13種類の限定メニューが販売されていました。ワールドシリーズとMLBの頂点を決める戦いとあってか、どのメニューも“さすがアメリカ!”と思わず笑ってしまうほどのビッグサイズ(笑)

ドジャーススタジアムで販売されていた「ポストシーズン限定グルメ」

味のクオリティや量が最適かどうかはさておき、新しいグルメをポストシーズン期間限定で開発し、販売できることに”スゴさ”を感じました。サイズを変えるだけのメニューであっても材料の配分や形の調整などが必要です。新メニューであれば、メニュー開発、調理トレーニングなど販売できるクオリティに到達させるまでには一定の手間が掛かっていることでしょう。

食へのこだわりが強い日本ではなかなかこの短期間では実現しにくいですが、常連ファンにすら新しい楽しさを提供しているように感じました。

 

■“記念品”を超えたMLBグッズの完成度

 

2つ目は、オフィシャルグッズ。

ワールドシリーズに出場する両チームのロゴが施されたアイテムは、予選の勝敗に左右されるため、多くのデザインを展開するのは難しいはずです。

日本シリーズでも、対戦する両チームのロゴやマスコットがデザインされた限定グッズは販売されていますが、出場チームが決定してから開催までの期間が短く、デザインが似通ってしまっている印象です。

それに比べて、ワールドシリーズで販売されている両チームのロゴ入りTシャツは、筆者が確認できただけでも全く違ったデザインで5種類もありました。

MLBとプロ野球では、ライセンス契約や権利の仕組みなどに違いは多くありますが、グッズそのもののクオリティに注目すると、MLBは「記念グッズ」の域を超えて、ファッションアイテムとしても成立するほどのデザイン性の高いアイテムが多く販売されていると感じました。

MLBのワールドシリーズで販売されていたオフィシャルグッズ

 

■進化し続けるスタジアム

 

最後に3つ目は、スタジアムモニュメント。

プロ野球の各球場にもチームの歴史が感じられるミュージアムが設置されていますが、ドジャースタジアムは“球場全体がミュージアム”といっても過言ではありません。

コンコース内の壁面には歴代の名選手たちの姿がデザインされており、どこを歩いていてもワクワクするような空間でした。

その中でも特に印象的だったのが、「Budweiser LEGENDARY DODGER MOMENTS」。外野席の展示コーナーで、チームの歴史的な名場面や伝説的選手の功績が紹介されていました。

そして今回驚いたのが、2025年10月17日(日本時間18日)MLBリーグチャンピオンシリーズで、大谷選手が打者として3本塁打、投手として7回途中無失点10奪三振という活躍をみせた際のモニュメントが、早速掲示されていました。

わずか1週間余りで新しく掲出されたスピード感に、MLBの柔軟さとファンを喜ばせる姿勢が強く出ていると感じました。

ドジャーススタジアムにあった大谷選手のスタジアムモニュメント

ついこの前訪れたばかりのスタジアムがもう新しくなっている…。

何度訪れても新しい発見や楽しみがあることに、MLBの“進化し続ける姿勢”が現れており、ファンが喜ぶその瞬間を大切に、MLBは常に新鮮なファン体験を届けていました。

ほんの3日間だけでもこれだけの発見があり、これ以外にもまだまだたくさんの楽しみ方があると思います。「ファン一人ひとりが、それぞれの楽しみ方で野球を味わえる」それこそがMLBが提供する“最高の観戦体験”だと実感しました。

さいごに

新卒で入社して5年目。小学生の頃から野球を続けてきたわたしにとって、MLBのお仕事をできていることがどれだけ幸せなことなのか、日々噛み締めながら過ごしている今日この頃。

“好き”だからこそ提案できる企画や気付ける発見があると思います。“趣味を仕事に。”それを実現させてくれる環境に感謝しています。

現在、MLBでは、言わずもがな日本人選手が各チームで活躍しており、日本国内でのMLBへの注目がますます高まっています。今後もMLBのさらなる魅力発信とファン層の拡大に向けて、“たのしいさわぎ”を起こしていけるよう取り組んでまいります!


サニーサイドアップでは、スポーツをはじめ、さまざまな商品・サービスのPR・コミュニケーションを手がけています。

コミュニケーションの力で、どんなことが実現可能なのか?そんなご相談からでも大歓迎です。ぜひお気軽に下部の「CONTACT」ボタンからお問い合わせください。

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二宮祐輔(パブリックリレーションズ事業本部 5局スポーツ)

新卒でサニーサイドアップに入社して現在5年目。メディアプロモーターとしてサッカー、バスケットボール、野球などスポーツ分野を中心に、家電メーカーやベーカリーチェーンなど幅広く担当し、PRについて日々鍛錬している。週末は小学生の頃からやっている野球で汗を流す。最近は、マラソン、ゴルフと違ったスポーツにも挑戦中。

※所属は執筆時と異なる場合があります

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