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第1回「ステイ・アット・シャドウ」(前半)※弊社社長は上場会社社長ですが顔出しNGなのでございます。。。

皆さま、お待たせいたしました!

「社長が書かない社長ブログ」第1回目をお届けいたします。
本来、社長が書くべきであろう「社長ブログ」を、わけあって社長の心情を中野の雑居ビル時代からよく知る立場のひとり”ローリー”が、社長の心情や歩みを浮き彫りにすることで、本人よりもリアルに、社長と会社のいまを伝えていこうという渾身企画(!)です。

”ローリー”とは?

”カップルが入場ゲートでキッスしたら野球観戦がタダ!”
という球界の歴史上、なかったことになっている某球団企画をきっかけにサニーサイドアップに合流、以来、現社長とは勝てない口喧嘩を繰り返しながら、さまざまなPR企画や「たのしいさわぎをおこしたい」のコピーをはじめとする会社のブランディングにも携わっている。

第1回「ステイ・アット・シャドウ」(前半)

 

社長室で・・・

社長室で

 

「私は黒子、ステイ・アット・シャドウですから。。。。」

それはサニーサイドアップ社長、次原悦子の口癖であり、もちろん信条でもある。

 

PR会社として29年。世の中にさまざまなムーブメントを仕掛けてきた中で、あれをやったと言えるものもあれば、今も言えないものや、単に二度と思いだしたくもないものも含めて無数のプロジェクトに関わってきた。

ただその成功は、ひとえにその作戦にGOサインを出したクライアントの決断があればこそであり、本来、黒子である我々が「うちがやった」と言うべきことではない。

まぁ、さすがに新しい取引にあたって会社紹介をする時には、あまりにも実績をひた隠しにすると、何をやってきた会社かさっぱり理解されないので当然、個別には説明はするのだが、それでも中には、仕事が完了した後でも守秘義務が継続する場合や、具体的にクライアント名を出せない場合もある。

それが我々のような仕事の宿命である。

 

さて社長であるが、上記のようないきさつもあって、顔を出したがらないという点では、昔から徹底してステイ・アット・シャドウである。

が、その徹底ぶりは時に常軌を逸しているのではないかと思えることすらある。

サニーサイドアップ創業と同じ85年に施行されたのが男女雇用均等法。

売り手市場だったことも、「御社の雇用均等法を踏まえてのポリシーを教えていただきたい」と息巻く女子学生が会社説明会を席巻、90年代前半にかけてバブル女子の鼻息がやたらと荒くなっていく中で、女性誌はこぞって働く女性にフォーカスし始めていた。

時代の要請だったのか、売れるからなのか知らないが、女性でそこそこ仕事をしていれば、
手当たり次第に「時代の寵児」と持ち上げられていた。

ネタに困ってか、当時まだ中野の小さなオフィスに蟄居していたサニーサイドアップにも、率いているリーダーが女性、社員も女性が大半だったこともあって、その手の取材が頻繁にやってきた。

 

が、次原は
「自分が目立ってどうすんのよ。絶対ヤダ」
その断り方は徹底していて“いい宣伝になるだろうに”と思っていた媒体社を拍子抜けさせた。

まだ何者でもないうちに「いま輝く、スーパーPRウーマン」といういかにもな見出しで括られた記事が流通していくことが本当に耐えがたかったのだろう。

 

こういう仕事をプロとしてやっていながら、それを看板に人前に出ること自体への矛盾も強くあったに違いない。
ただメディアとの関係づくりも重要な仕事だけに、義理を欠けない、どうしても断りきれない状況では、すかさず人身御供で、当時シングルマザーであった同僚Mを差し出して乗り切っていた。こういう時の行動には躊躇がない。

 

顔出しNGぶりは今も変わらずで、講演を引き受ける際も、顔写真はNG。

ある大学で行ったスポーツマネジメント講演の抄録を出版する際にも、出版社の懇願にも関わらず、居並ぶ講演者の中で1人だけ、大学の大教室の最後列から講義シーン撮影した、米粒ほどにも顔がわからない写真が掲載された。

 

そのくせ

「あんまり顔出さないと、何か別な理由があるって思われるんじゃないかしら」
「ねぇ、今日来てくれた人みんなが○○○(個人名)のことを、私だって勘違いしているみたい」

スポーツマネジメントを手掛け、選手の名が売れ、名前が知られていくと、本人が気の毒になるくらいの人物像が憶測で語られていき、その信念も時折、揺らぐことはあったが、おおむねステイ・アット・シャドウは今日まで貫かれている。

 

さて、これだけ聞くと“主役を引き立てることこそが生きがい”というプロ意識を持った、さぞかし謙虚な女性像を思う浮かべるかもしれない。

が、社長の性格、あるいは人生がステイ・アット・シャドウそのものであるかどうかはまた別の話である。

 

「たのしいさわぎをおこしたい」
はこの会社を象徴するために初めて記したコピーであり、いまもその精神は継承されているが、このフレーズ自体が、結局半分くらい、彼女の人生のことを言っていると思う時がたびたびあった。

(後半につづく)

 

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