一人の悩みはみんなで解決できる。女性向けセルフケアブランド「WRAY」誕生秘話から読み解く、今を生きる女性へのヒントとは。【前編】
2020年9月にローンチされた女性向けセルフケアブランド「WRAY(レイ)」。
女性のバイオリズムやライフスタイルをサポートするブランドとして多くの女性から注目を集めています。
「女性に本当の力を発揮してほしい」という想いでWRAYを立ち上げたファウンダーは、谷内侑希子(たにうち ゆきこ)さん。
PRと出資という側面から同ブランドをサポートしているサニーサイドアップグループ社長室室長・谷村江美(たにむら えみ)と共に、ブランドの誕生秘話や女性ならではのキャリア論などを語り合いました。
今という同じ時代を生きる2人が語った、”女性の背中を押すメッセージ”とは。前編・後編の二部構成でお届けします。
——早速ですが、ブランドを立ち上げた経緯や思いをお聞かせください。
谷内さん(以下、敬称略):
母親が会社を経営していたこともあり、小さい頃から”女性が仕事をすることの大変さ”を身近に見てきました。
自分が社会人になってからは、実際に大変な局面や悔しい思いを経験。女性がライフイベントを乗り越えながら活躍するためには、様々な課題を乗り越えなければいけないことを身にしみて感じてきました。特に子供を生んでからは、周囲の理解、時間管理、子どものメンタルケア、職場での働き方といった様々な課題に直面し、自分の体のことはおざなりになりがちです。
さらに、自分が様々なライフステージを経ていく中で、女性ならではの悩みが次々とやってくることを経験。私の場合は、その悩みは社会人1、2年目の生理不順から始まりました。
こうした経験を踏まえて、「働く女性が直面する問題を解決するために、自分に何をできるか」を考えた末、「自分たちの身体が一番の資本」という一つの答えにたどり着きました。
そして、女性特有の課題解決にアプローチしていきたいと考え、このブランドをスタートしました。
——お母さまを見て、子どもながらに感じることがあったのですね。
谷内:
母親の時代でも働く女性はいましたが、”一企業の社長”という立場の女性はほんのわずかでしたね。男性社会の中で働いている母の姿を見て、ジェンダーの課題があること、そしてそれを乗り越えようとしていることを子どもながらに感じていました。
母親世代の働く女性が課題を一つ一つ乗り越えてきたことで、今という時代がある。その流れの中で、私たちの世代で何が出来るのか。「次の世代へ繋ぐためにも、何かやらなければ。変えなければ」という想いが強くなりました。
今はテクノロジーも進化していますし、”良いプロダクト”を生み出すのに適した時代です。そこを強みに、何かにチャレンジ出来ればいいなと考えました。加えて、私たちの世代で「何か変えたい」という想いを叶えるためには、やはりインパクトが大きい方が良い。そうした考えのもと、自分で会社を立ち上げるという道を選択しました。
——ブランドの概要や商品の特徴についてお聞かせください。
谷内:
WRAYは、女性のバイオリズムやライフスタイルをサポートするセルフケアブランドです。インナーケア、スキンケアや温活などに関するプロダクトの開発・販売、LINEでの生理周期トラッキングサービス、情報コンテンツ配信などを展開しています。
——サニーサイドアップグループとして、パートナー企業になったきっかけがあれば教えてください
谷村:
個人的な話からすると、私もPMSで悩むことがあって、生理中よりも辛い時もあるんですよね。
吐き気がひどく、通勤中に電車を途中下車した経験もありました。それでも周りの人には言えなかったんです。PMSの問題は、日本でも顕在化されていない悩みなのではないでしょうか。
目に見える症状ではないこともあり、”他人に言う問題ではない”と考える方が多い。「体調が悪い」という感情を一人で抱えながら日常を送る。その悩みに対して、課題解決の提案をしてくれるブランドのコンセプトに共感を覚えました。
企業という立場ですと、当社グループでは、自社事業と他社支援の両側面からSDGs(持続可能な開発目標)達成に向けた活動を推進するプロジェクト「SSU’s Social Action 3.2 for SDGs」を昨年に立ち上げました。最近では、これまでのPRサービスの提供に加えて、出資を通じてSDGs推進企業の成長を支援する取り組みを開始。その第一号としてWRAYを選定させていただき、支援を行う運びとなりました。
谷内:
PMSは、人に言わない・相談しない人が約7割もいるんです。その理由として多いのは、「みんな我慢しているから」。初潮がくる12歳ごろからずっと我慢をしてきたので、言わないのが普通だと感じている人が多いのかもしれません。
そんな女性たちに、「我慢しなくても解決方法はある、みんな同じことで悩んでいるんだよ」というメッセージを伝えていきたいと思っています。
——事業をスタートされてみての感触はどうですか?
谷内:
SNSを通じて、みなさんの反応をいただくことが多いですね。
「小さな悩みにフォーカスしてくれたのが嬉しかった」「病院に行くハードルが高かった」「自分と同じように悩んでいる人がこんなにいるんだ」。これらは、「PMSの悩みを教えてください」という質問に対して届いた共感の声の一部です。顕在化していない問題がたくさんあるのだなと、改めて感じましたね。
谷村:
周りの人が心配して病院に行くことを勧められる、ということをよく聞きますが、そこまででもないことが多いんですよね。不調の時に、心の拠りどころがあるということが、重要な気がします。
谷内:
そうですね。多くの女性に、「使ってみたい」と思っていただけるようなプロダクトを作りたいと常に考えています。自然に日常に溶け込むことができ、自分の身体に目が向くきっかけになり、ともに解決に向かっていけるブランドを目指しています。