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AI時代に広報・PRはどうなる?「広報のミカタ2026」の巻頭キーワードを執筆したエグゼクティブプランナーが語る

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宮崎新之(SUNNY DAYS オフィシャルライター)

パブリックリレーションズ(PR)の普及・啓発を目的とし、PRプランナー資格の認定などを行っている公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会(以下、PRSJ)(以下、PRSJ)から刊行されていた『PR手帳』が、今年度からタイトルも新たに『広報のミカタ2026』として新書版サイズにリニューアルされました。

PRSJが制作する「広報のミカタ」

「広報のミカタ」は広報・PRパーソン必携のハンドブックで、年内に開催されるイベントのスケジュールや報道メディアなどの連絡先など、さまざまな情報が一冊にまとめられています。

そんなハンドブック巻頭に掲載されているキーワード解説の一部を、わたしたちサニーサイドアップのメンバーが執筆しています。なかでも、コミュニケーションプランニング部のエグゼクティブプランナー 関谷侑未(せきや ゆみ)は「PR×AI」をテーマに、1ページを丸ごと使って、AI活用の現在地や向き合い方について解説しました。

サニーサイドアップの頭脳とも言えるプランナーの目線で見るAIとはどのような存在なのか。関谷に話を聞きました。

――どのようなキャリアを経て、現在はどのようなお仕事をされているのでしょうか。

わたしは現在、サニーサイドアップのコミュニケーションプランニング部でエグゼクティブプランナーをしています。MVV策定から、コミュニケーション戦略立案、企画の詳細まで、かなり幅広い範囲の仕事を請け負っていますね。

PRSJが制作する「広報のミカタ」の巻頭メッセージを執筆したサニーサイドアップの関谷

学生の頃からプランナーの仕事に興味はあったのですが、新卒では納得のいく内定が取れず、テレビ制作会社でADになりました。

当時のわたしが考え得る一番ハードな現場を経験していれば、その後「ポテンシャル」という点でキャリアアップが叶うのではないか、と考えたからです。

ADの仕事自体は思いのほか楽しかったんですが、やっぱりプランナーの仕事に近づいていきたかったので、広告代理店に営業として転職しました。

そこでPRSJが行っているPRプランナーの資格を勉強し始めて、PRプランナー補、准PRプランナーを取得。実務経験が3年を過ぎてから、PRプランナー資格を取得しています。当時は現在ほどPRが一般的な概念として広がっていなかったので、客観的にも「わたしはPRを学んでいます」という意思表示になり、社内外へのアピールになっていたと思います。

その代理店での経験を経て、サニーサイドアップにプランナーとして転職しました。

▼サニーサイドアップグループでは、プランナー以外にも、PRプランナーの資格を積極的に取得するメンバーが複数在籍しています。

新卒入社4年目にしてPRプランナー資格を取得!プロフェッショナルなメンバーが、試験内容や合格の秘訣を解説します

――最近はどのようなお仕事を手がけられているのでしょうか。

新規案件が平均で月に5~6件ほど、継続で並走させていただいているような案件が2~3件あるというのが、通常の大まかなボリューム感です。地方自治体による入札案件や美容・コスメ、製薬会社など、ジャンルも幅広く手掛けています。

最近の仕事だと、東京ゲームショウのPR・コミュニケーションに携われたことが、個人的には嬉しかったですね。

PRSJが制作する「広報のミカタ」の巻頭メッセージを執筆したサニーサイドアップの関谷

わたし、本当に小さい頃からゲームが大好きで、今も寝る間を惜しんでプレイして、世界を救っているんです(笑)。出展側の企業のお手伝いをしたこともありましたが、主催側でもお手伝いできたのは、ゲーム好きとしてすごく印象的なお仕事になりました。

――そんな関谷さんが今回、「広報のミカタ2026」でPR×AIの巻頭キーワード解説を執筆されたとお聞きしました。どのような経緯で執筆することになったのですか?

「広報のミカタ」は広報やPR業務に携わる人々に向けたメディア・ハンドブックで、PRSJが発行しています。当社取締役の松本理永が同協会の副理事をしていることもあり、所属しているコミュニケーションプランニング部に今年の注目キーワードのアイデア出しの依頼が来たことが発端です。

例年は、キーワードがある程度決まっていて執筆だけの依頼をいただく形でしたが、今年は「社会に対するアンテナ感度が高いPR会社のプランナーが、キーワードを選ぶところから考えてほしい」と、案を出すところから関わらせていただきました。

エグゼクティブプランナーとして、これからのコミュニケーションにおいて大切だと思うキーワードや、個人的に気になっているキーワードなどをピックアップしました。

PRSJが制作する「広報のミカタ」の巻頭メッセージを執筆したサニーサイドアップの関谷

実際には社内検討の段階で20案以上提案したのですが、その中にはAI関連のキーワードが複数含まれていました。それをギュッと総括した形で“PR×AI”というキーワードで執筆させていただきました。AIに関連するワード説明から、PR視点でのAIの捉え方までを解説しています。

――巻頭キーワード“PR×AI”を執筆するにあたり、特に意識したことは何ですか?

AIに関連するワードは、まず“初見で意味がわからない”ことが多いんですよね。特に、AI関連はカタカナや英単語が多く、理解しにくいところがある印象でした。なので、初めて読む人でも「なるほど、こういうことか」と理解できるよう、文章はできるだけ噛み砕いてまとめることを意識しました。

サニーサイドアップの関谷がPRSJが制作する「広報のミカタ」をめくる様子

社内にはAI活用促進の流れが以前からあって、各部署にはAI促進メンバーが在籍しています。加えて、AIをツールとして活用するのではなく、コミュニケーションに取り入れていくという観点で、定期的にAIに関するミーティングを続けていました。そういった前知識や、ミーティングでの議論も執筆内容に反映しています。

――改めて、PRとAIの関係性について、どのように考えてらっしゃいますか。

AIをいわゆる便利ツールとして使うだけでは、人はどんどん思考しなくなると思っています。

だからわたしはその使い方にはどちらかというと反対で、PRでは、AIもステークホルダーのひとつと捉え、生活者にとって「信頼できる第三者」となりつつあるAIと、どう関係を構築していくか、AIに 「信頼される情報」を届けるには伝えるにはどうしたらよいか、という考え方が大事だと考えています。

PRSJが制作する「広報のミカタ」の巻頭メッセージを執筆したサニーサイドアップの関谷

そして、AIが発展するほど、人間らしさなどの「AIでは代替できない領域」が、より価値を問われるようになる。そのためにも、まずはわたしたち自身がAIを正しく認識することが必要で、その上で「人にしかできない部分」と「AIが得意な部分」の住み分けを考えていくことが大切になるのではないでしょうか。

AIは日々学習し、変化し続けています。その進化を捉え、AIとの相互理解を深めるために、わたしたちは2025年11月6日、専門チーム「AI Dialogue & Relations Team」を発足しました。当社執行役員の岩崎真之介を中核に、クリエイティブファームTHE GUILD 代表やnote株式会社 CXOなどを務めている深津貴之氏がAI・リレーションズ・アドバイザーに就任し、AI時代をリードするPR会社として、わたしたちとAIとの向き合い方を確立していきたいと考えています。

まずは、定例ミーティングを重ねるなかで「AIとの向き合い方」「クライアントに対する説明の仕方」「提案できるポイント」などを資料としてまとめ、2025年12月に社内で共有しました。

特定のチームだけでなく、全社員がAIについて対応できるようにしています。

▼「AI Dialogue & Relations Team」「AI・リレーションズ・アドバイザー」に関する記事はこちら

AIネイティブ時代に、PRのあり方はどう変わる? 深津貴之が「AI・リレーションズ・アドバイザー」に就任&「AI Dialogue & Relations Team」を発足

――AIに不安を感じている広報・PR担当者に向けて、何かアドバイスはありますか?

現状は、何もわからなくても大丈夫です。ただ、“AIで何ができるか”ではなく、“AIとどう関係を結び築き、体験提供価値を高めるか”で考えると、広報・PRパーソンでもできることはたくさんあるはずです。

なので、AIについて詳しくなくても、具体的なイメージが湧いていなくても、「興味がある」ということさえ教えていただければ、わたしたちが可能性を広げるお手伝いができると思っています。

PRSJが制作する「広報のミカタ」の巻頭メッセージを執筆したサニーサイドアップの関谷

例えば先日、とあるクライアントさまから、「AI活用で何かできないか」とご相談をうけ、当社の取引先であるAI関連サービスの会社をご紹介させていただきました。「AIを何かしらで活用したいけれど、何をすればいいか分からない」というご相談は少なくありません。自社のサービスや技術だけでは見つけられないことも、どこかと手を取り合うことで、新しい価値を見出せるかもしれません。

わたしたちは40年以上のPR・コミュニケーションを通じて培ったノウハウや、たくさんのクライアントさまとのお付き合いがありますし、一緒にいろいろなアイデアを考えることができます。

ぜひ、何もわからない所から一緒にスタートして、AIとの良い関係を作っていきましょう!

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宮崎新之(SUNNY DAYS オフィシャルライター)

香川県出身。チケット情報のフリーペーパー、都市情報誌の編集を経て、2010年にフリーランスに。演劇、映画などのエンタメ系インタビューを中心に、近年は農家から医師、経営者などいろいろな人から"お話を聞いて読み物にする"インタビューライターとして活動中。

※所属は執筆時と異なる場合があります

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