サントリー出身・北川廣一が語る、これからのPRとサニーサイドアップの可能性

みなさんこんにちは。サニーサイドアップグループ広報の古本です。
本年4月1日、当社グループのコア事業を担う株式会社サニーサイドアップは、北川廣一(きたがわこういち)氏をシニア・ストラテジック・アドバイザーに選任いたしました。
サントリーホールディングスにて、ザ・プレミアム・モルツの原型である「モルツスーパープレミアム」や「DAKARA」をはじめ、数多くの革新的なブランド開発・広告制作を長年にわたり手掛けてきた北川氏が、なぜサニーサイドアップにジョインしたのか。
SUNNY DAYSでは、サニーサイドアップのシニア・ストラテジック・アドバイザーに就任した北川氏に、就任への想いや今後のビジョンを語っていただきました。
シニア・ストラテジック・アドバイザーに就任した北川廣一とは1959年京都市生まれ。京友禅を行う父親の一人っ子として、幼少期からアートに触れる生活を送る。男子校での中高生時代には演劇部に所属し、脚本を手がける。当時は医者志望だったが、解剖展で見たホルマリン漬けの脳を見て、「これは無理や…」と進路変更。京都大学法学部へ入学。 1982年に同大学卒業後、サントリー株式会社に入社。商品開発・宣伝部門を経て、現在のザ・プレミアム・モルツの原型である「モルツスーパープレミアム」や、日本初の発泡酒「ホップス生」、清涼飲料の「なっちゃん」「DAKARA」などの商品を開発。その後、宣伝制作部長・食品宣伝部長として、「伊右衛門」「BOSS(宇宙人ジョーンズ篇)」「ザ・プレミアムモルツ(矢沢篇)」「PEPSI(桃太郎篇)」「サントリー天然水」「特茶」などの広告制作に携わる。 2014年よりサントリー食品インターナショナル執行役員 兼 CMOに就任。2017年に株式会社サン・アド(以下、サン・アド)代表取締役社長、2021年より代表取締役会長、2025年3月同職退任。2025年4月より当社のシニア・ストラテジック・アドバイザーに就任。 |
就任の背景ー肌で感じたサニーサイドアップの可能性
北川氏:今回サニーサイドアップのシニア・ストラテジック・アドバイザーに就任させていただいたのは、シーチャウ(同社代表取締役社長 リュウ・シーチャウ)から“強引に引っ張られた”ことがきっかけ。もちろん、冗談交じりの話ではありますが(笑)。実際に彼女の熱意に心が動いたのは確かです。
元々シーチャウとはお互いの職場が近所ということもあり、“近所飲み”と称して、経営者同士、仕事やそのほかのたわいもない話をする仲でした。わたしは新卒からサントリーホールディングスに在籍し、はや40年間以上。その日も何気なく「そろそろ違う名刺持ってみたいんです」と相談したら、シーチャウから「うちに来てみてください!」と話があり、オフィスに行くことになりました。
シーチャウとは彼女がサニーサイドアップに入社する前からの関係で、会社の評判は以前から耳にしていたんです。彼女が代表取締役社長に就任してから、サニーサイドアップを「21世紀でPR・コミュニケーションが一番進んでいる企業」として変革しようとしている話も聞いており、興味を持ったことが始まりです。
実際に来てみると、とにかくオフィスがおしゃれで綺麗。メンバー同士が自然に交流し、クリエイティビティが刺激されるようなセントラルキッチンなど、おしゃれなデザインのなかにもサニーサイドアップらしいユーモアが組み込まれていて好印象でした。またオフィスで働くメンバーのみなさんは、若くてエネルギッシュ。真剣な表情でPCに向き合う姿や同僚と活発にディスカッションをする姿を見て、良い刺激を受けたことを覚えています。
ですが、サントリーホールディングス一筋だったわたしが初のアドバイザーとしてサニーサイドアップを選んだ一番の理由は、「なんとなく」。シーチャウをはじめ、働くメンバーやオフィスを、理由なく好きだと思ったからです。
「趣味」について考えてみてください。みなさんがずっと続けている趣味、それを始める前に何か理由を考えたでしょうか。たとえば「知識人になるために読書を始めよう」といったようにです。おそらく「何となく始めて、気づいたらそれが趣味になっていた」という方がほとんどではないでしょうか。
こういう大事な決断をする時に、理由探しをするのはあまり好きではありません。理由をつけて始めたものは、その理由が崩壊すると飽きてしまうんです。わたしはサニーサイドアップやそこで働くメンバーのみなさんが何となく好きだと思ったから、迷わずシニア・ストラテジック・アドバイザーとしてジョインすることを決めました。
ブランディングの観点でも、「なんとなく好き」「なんとなく欲しい」とお客さまに思っていただけるような状態は、企業・ブランドにとってすごく理想的な状態なんですよ(笑)。
北川氏の考えるブランドコミュニケーションーLOVE&GOOD LIFE,FUTURE
講義や講演でいつもお伝えさせていただいていることですが、企業ブランディングで最も重要なキーワードは「LOVE&GOOD LIFE」、そして「FUTURE」だと思っています。
「LOVE&GOOD LIFE」とは、言い換えると「顧客に愛され、その人の生活がより良くなる」ようなブランド・コミュニケーションをつくること。
わたしがこれまで行ってきた「広告」、そしてサニーサイドアップが手がける「PR・コミュニケーション」も、単なる情報伝達の手段ではありません。情報を拡散するだけならSNSの方が効果的でしょう。
広告・PRの存在意義は、「情報伝達×バリュー」なのです。情報を拡散すると同時に、本質的な「価値」をお客さまに届ける。わたしたちの究極の目的は情報拡散ではなく、お客さまへの価値提供を通じた企業価値の向上です。
サン・アドは広告、サニーサイドアップはPR・コミュニケーション。プロセスは違っていても、クライアント企業の価値を上げるという目的は変わりません。お客さまにブランド・商品を好きになってもらう、愛してもらい、その人の生活を良くする。
そして「FUTURE」とは、「未来への期待」です。「⚫︎⚫︎がありました」といったように、過去の出来事を紹介するだけではニュースと変わりません。広告・PRは、情報を出すことによって、クライアントやその先の消費者の未来に期待を持たせるようなものでなければならない。サニーサイドアップにも「Make World Betterーたのしいさわぎで明日の希望をつくる」というブランドメッセージがありますよね。わたしもその通りだと共感しています。
「LOVE&GOOD LIFE」、そして「FUTURE」によって社会に与えた価値は、そのまま利益になります。あまり良い表現に聞こえないかもしれませんが、企業が存続・成長していく上で非常に重要な要素です。
いい広告・PRによって企業が存続・成長することで、社員に還元でき、モチベーションが上がります。その様子を見て、会社がより世の中に愛されるようになる。すると多種多様な人財が集まり、さらによい広告・PRのお仕事につながるーーこういった好循環が始まるのです。

北川「広告もPRも言語化が大事。LOVE&GOOD LIFE、FUTUREもめちゃくちゃ恥ずかしい言葉ですよね。だけど、普遍的なもの。これが企業としてのWHYであり、そのためのHOWとしてPRを考えていきたいです。」
今後の展望ー「クリエイティビティあるPR」でPR・ブランディング・カンパニーへ
いい広告を制作するには、本質を見極めたクリエイティビティが必要不可欠。「本質」とは人の心がなびき、動くこと。人の心を動かさないのはいい広告とは言えません。それはPRも同じでしょう。
PRという枠にとらわれず、さまざまな視点から「人の心を動かすコミュニケーション」全体を見据えた支援をしていきたいと考えています。
広告もPRも日々変化しており、過去の手法が通じなくなっています。わたしはサン・アドの代表取締役社長と会長を経験するなかで、他企業と差別化を計るために「クリエイティブでブランドを作る」というスローガンを掲げ、クリエイティブ・ブランディング・カンパニーを標榜しました。
その経験から得た考えを、今後はサニーサイドアップにも活かしていきたいと考えています。「PR・ブランディング・カンパニー」を目指すのも面白いかもしれませんね(笑)。
広告・PRは社外に向けたものではありますが、社内への意識も同じかそれ以上に重要。本当に大切なのは、「その広告やPRを、社員がどう感じるか」。想いを込めてつくられたものは、受け手にも必ず伝わります。
サントリーでもサン・アドでもよく言われていることなのですが、自社の広告を最も目にするのは、実はその会社の社員自身。サニーサイドアップで言うならば、「メンバーのみなさんを幸せにすることができるPR・コミュニケーションなのか」を意識することが必要です。
料理人が楽しんで作った料理が、自然とおいしく感じられるように。広告やPRも、つくり手の姿勢が伝わるものだと思います。
想いのこもったPRは、社外だけでなく社内にも届き、人の心を動かします。そんなコミュニケーションを、たのしみながら一緒にカタチにしていけたらと思っています。
フレキシビリティを大切にしつつ、シーチャウやメンバーのみなさんと、新しい“たのしいさわぎ”をおこしていきたいです。
サントリーホールディングスで革新的なブランド開発・広告制作を手がけてきた北川氏を迎えた新生サニーサイドアップ。
さらにパワーアップしたわたしたちがおこす“たのしいさわぎ”にご期待ください!