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調査PRや危機管理広報。見落としがちなPR手法を解説!|『サニーサイドアップの手とり足とりPR』をつまみぐい!Vol.2

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屋優美(アカウントプランニング局)

こんにちは!アカウントプランニング局の屋です。

PR手法といえば、メディアに新情報を届ける「プレスリリース」や、「記者会見」などのPRイベントが思い浮かぶのではないでしょうか。

PRには、他にもさまざまな手法があり、それらを効果的に組み合わせることで課題解決や目標達成に近づくことができます。

(書籍p25,26より 図表5,6)

多くの手法がある中でも基礎習得を逃しがちなのが、「調査PR」「啓発PR」といった事前のファクト作りからPRする手法や、「社内広報」「危機管理広報」といった社内外に自社の重要な動きや考え方を発信する手法。

とても重要だけど今更聞けない…
改めて基礎を知っておきたい…
そう思っている広報担当者やPR会社の方も多いのではないでしょうか。

サニーサイドアップのノウハウが詰まったマニュアル本の第2章では、様々なPR手法をひとつひとつ解説しています。その中でも、「調査PR」「啓発PR」「社内広報」「危機管理広報」について説明しているページを抜粋してご紹介いたします!

■はじめに

本記事は、2021年5月に出版した、PR業務の初心者、一人広報さんに向けたマニュアル本『サニーサイドアップの手とり足とりPR』の内容を一部抜粋して、ご紹介する連載記事になります。

前回の記事はこちら▼
【新連載始動】PRのマニュアル本『サニーサイドアップの手とり足とりPR』をつまみぐい!Vol.1

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では早速、第2章の中身をつまみぐいしていきましょう!

■事前のファクト作りからPRする

PRのアプローチとしては、調査結果に基づいたPRネタを開発し、情報を発信する「調査PR」が一般的です。

また、少し応用的なものとしては、最初から商品やサービスをPRするのではなく、まず世の中の空気感を形成して、商品やサービスが必要な状況から関わる「啓発PR」という考え方もあります。

調査PRとは?

企業・商品・サービスに関連したアンケート調査を行い、その調査の結果をニュースとして発信するPRの手法です。内容を裏づけできるようなデータを基に、調査リリースやニュースレターを作成して話題を喚起したり、メディアへの露出を図ったりします。

新商品や新サービスの情報がないときはもちろん、自社のブランディングや、自社にポジティブな世論を導き出したいときにも有効な手法です。

調査PRを実施するフローは、①調査設計、②実査、③分析・リリース化、④PR活動、の4つに分けられます。

①調査設計(1週間~1カ月)
どのような仮説を裏づける事実を調査するのか、調査企画を立案し、設問を設計します。所要期間はおおよそ1週間~ 1カ月なので、調査リリース/ニュースレターを配信したいタイミングから逆算して行います。サンプル数は少なくても400~ 500人を目安とするのが一般的です。

②実査(1週間~1カ月)
インターネットリサーチを中心として、電話・郵送・街頭アンケート調査、グループインタビュー・個別インタビューなどによって回答を集めます。

③分析・リリース化(1週間~1カ月)
リサーチの結果を分析し、調査リリースやニュースレターを作成します。単純な集計だけではなく、性別・年齢・職業・居住地などをかけ合わせて集計する「クロス集計」をすることで、訴求したいニュースやメッセージをしっかりと設定し、磨き上げていくことができます。

④PR活動(1~2週間)
調査リリースやニュースレターに基づき、メディアにアプローチします。調査に基づいた客観性や、調査で明らかになった新規性のある結果をフックにして企画を提案します。「言われてみれば確かに」というような何となく感じていることを顕在化することや、「こうかと思っていたら違った」というような意外性などがポイントになります。

たとえばこう作る ソロキャンプの調査PR

ソロキャンはまだまだハードルが高い!? 興味がある人と未経験者の割合には20%もギャップが!!

8月11日の山の日に合わせて、ソロキャン推進協議会が、全国の20~ 64歳を対象にアンケート調査を実施。アンケートは「ソロキャンプをしたことがあるか」「ソロキャンプをするならどこがおすすめか」「ソロキャンプしたことはないが、興味はあるか」などのような10個ほどの設問で構成。世の中でブームになりつつあるソロキャンプへの幅広い世代での興味の高さを裏づけしつつも、まだまだ挑戦できていない実情が浮き彫りとなった。また、ソロキャンプ経験者の愛用するキャンプ場やキャンプ用品も調査したため、未経験者に向けておすすめの場所やグッズなどもランキング形式で発表。

<おすすめのソロキャンプ場ランキング>
1.……………………
2.………………
3.……………………

<おすすめのソロキャンプ用品ランキング>
1.……………………
2.………………
3.……………………

啓発PRとは?

商品やサービスなどを最初からPRするのではなく、世論やムーブメントを先に形成した上で、商品やサービスをPRする手法を「啓発PR」と呼びます。まだ「世の中ゴト化」されていない潜在的な問題点をニーズとして見える化して、PRしたいものの価値が求められる空気感を醸成します。その後に目的としているもののPRを行うことで、より効果的な訴求が可能になります。

問題点を「世の中ゴト化」するためには、実際に時流に沿っていることが必要で、顕在化されたニーズに多くの人が共感できることが大切です〈図表8〉

※文中に出てくる「ソロキャン推進協議会」は架空の組織です。

■重要性が増している社内広報と危機管理広報

広報・PR活動というと、まず「メディアでの発信」を思い浮かべますが、社員が同じ方向を向いて仕事をしていくために、「会社が大事にしていること」を社内にメッセージしていく広報活動もとても大切で、特に働き方の多様化が進む昨今では、力を入れる企業が増えています。

また、たとえ業務に細心の注意を払ったとしても、不測の事態が起こる可能性はゼロではないため、危機管理にまつわる広報の知識も持っておきましょう。

社内向けのさまざまな広報活動

働き方の多様化が進む昨今では、社内に向けた広報に力を入れる企業も増えています。主な活動を挙げてみます。

社内広報
グループ会社やパートナー企業、従業員やその家族、株主なども含め、自社の大切なステークホルダーに対して行うインナーコミュニケーションが社内広報です。

関係者にリテラシーを身につけてもらうことで、広報・PR活動がよりスムーズに進められるようになったり、社員の会社への理解や愛着を高めることで実業の成長に寄与したりといった効果も見込めます。近年、PRの中でも特に社内広報は注目を集めている分野です。

広報・PR講座(広報担当者向け)
広報・PR、広告・宣伝、マーケティングなど、実務として広報・PRやその周辺領域に携わる従業員に対して、広報・PR概論、プレスリリースの作成法などをレクチャーする講座があります。

広報・PR講座(非広報担当者向け)
広報・PR、広告・宣伝、マーケティングなど、一定の広報・PRリテラシーを持ち合わせている部門以外の社員に対して、広報・PRに関する基礎知識を身につけてもらうための講座もあります。

彼らがリテラシーを身につけることで、広報・PR活動の運営が円滑になったり、現場からもPRトピックスが挙がったりといった効果が期待できます。

社内報制作
企業ビジョンや事業内容の浸透、グループ会社や支社、部署間での情報共有、社員間のコミュニケーションなどを目的とした社内報の企画・制作です。メールマガジン化やグループウェア上での公開など、ペーパーレスコンテンツとして制作することも可能です。

社内イベント
目的意識の共有、コミュニケーションの活性化、モチベーションの向上などを目的として行うインナーイベントの企画・実施・運営を行います。
全社規模や部署規模での研修や懇親パーティ、周年イベント、アワードイベント、運動会のようなものまで、イベントの種類は多岐にわたります。

事前の危機管理広報活動
家電メーカーの製品リコール、食品メーカーの異物混入、飲食店の食中毒、サービス業全般における従業員のSNSトラブルやネット炎上など、企業が社会的批判を受けてしまう事態に関わるのが危機管理広報です。
謝罪会見に代表されるクライシス発生後の対応を連想しがちですが、“危機に備える”という視点で、発生の前段階から準備することもできます
この項と次項では、「事前」と「事後」の危機管理広報の活動をそれぞれ解説します。まずは、危機が発生する前に行う、“備える”という視点での危機管理広報活動です。

危機管理コンサルティング(事前)
ヒアリングなどに基づき、自社が抱える潜在リスクを洗い出してもらったり、危機管理広体制の構築に関するアドバイスを専門家から受けたりします。

危機管理広報マニュアル作成
コンサルティング内容に基づき、危機管理広報体制や発生後の連絡・指示系統、対応手順などについてマニュアル化します

メディアトレーニング:記者会見
危機発生後に行われる可能性のある記者会見についてシミュレーションを行います。会見場に見立てた会場で、記者役やカメラマン役などを入れ、発表や質疑応答をトレーニングします。

メディアトレーニング:インタビュー取材
クライシス発生後に実施可能性のあるメディア取材について、シミュレーションを行います。取材対象者となる可能性のある人に対して1対1の個別取材のシチュエーションで、取材時の受け答えや振る舞いなどをトレーニングします。

事後の危機管理広報活動

危機が発生したあとに行う、“対応する”という視点での危機管理広報活動です。

危機管理コンサルティング(事後)
事実を公表した際に、メディアや社会に与えるインパクトについて事前想定を行った上で、対応プランを考えたり、想定されるQ&Aを作成したりします。

プレスリリース配信
事実を公表するにあたってのステートメント策定やプレスリリースの作成ならびに配信を行います。

モニター対応
クライシス発表後のメディアモニターや、それに基づいた報道分析などを行います。また、報道に対するSNS上の反応や、SNS炎上の拡散状況などのモニターにも対応します。

記者会見
事実を公表するにあたって行う記者会見の企画・制作ならびに運営や当日対応を実施します。記者会見前後でのメディア対応も行います。
こうした準備や知識は重要ですが、いざ何かが起きたというときに最も大切なのは、誠実さや正確さ、そしてスピードです。起きたことによる被害などを最小限に抑えるのを最優先とすることを念頭に、対応にあたります。

出典・引用元/『サニーサイドアップの手とり足とりPR』(クロスメディア・パブリッシング)

■おわりに

この度は、連載【書籍「サニーサイドアップの手とり足とりPR」をつまみぐい!】をご一読いただきまして、ありがとうございました!

過去の連載記事はこちらにございますので、もしほんの少しでもお腹に余裕がある方は、もう一品つまんでいかれてはいかがでしょうか。

WRITTEN BY

屋優美(アカウントプランニング局)

サニーサイドアップに新卒入社し現在5年目。約1年間のメディアプロモート担当を経て、現在はプランナーとしてグローバルクライアントをはじめ、地方自治体、美容、グルメ案件など幅広く担当。生まれ育った奄美大島をこよなく愛する生粋のシマンチュ。

※所属は執筆時と異なる場合があります

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