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PRプランナーが企画力を付けるのに辿り着いたのは…?名作ボディコピーから読み解く“ブランド発信のヒント”

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亀山一樹(パブリックリレーションズ事業本部 アカウントプランニング局)

今の時代に即したPR手法やブランディングのノウハウなどを読み解く連載企画「SSUのPRメソッド」。今回は、「PRプランナーが企画力を付けるのに辿り着いたのは…?」というテーマでお話しさせていただきます。

これまでのPRメソッドはコチラから。

PR業界に属する方であれば、多くの方が読まれているであろう本田哲也氏が執筆された「ナラティブカンパニー」。自分も拝読させていただき、その中でも”ナラティブスクリプト”のパートが、PRのプランニングにおいてとても勉強になりました。

まず紹介したいのが「ナラティブスクリプト」という考え方です。これはその名の通り、企業がこれからどんなナラティブを語っていきたいのかを示した脚本のこと。それと同時に、ナラティブスクリプトはある種の道標でもあります。もっと言ってしまえば「商品開発も広告もPRも、あらゆる企業活動を、語りたい物語に沿って展開していこう」というのがナラティブスクリプトの究極の形です。

引用元:Narrative GENEs「ナラティブスクリプトが、たしかな道標に。キシリトール『日本フィンランドプロジェクト』から学ぶ、実践マーケティング」

ただ、いきなりナラティブスクリプトを描くには難しいと感じており、どうしたら上手くスクリプトが作成できるようになるか、訓練できるのか悩んでおります…(悩みは現在進行形)。

“ナラティブスクリプトについてもっと知りたい”と思われた方は、書籍を購入されるか、下記をご参照ください。
https://narrativegenes.com/articles/CThvT
https://webtan.impress.co.jp/e/2021/07/15/40875

本の画像

そして悩んだ結果、正攻法ではないかもしれませんが、自分なりの訓練方法が、「広告のボディコピーを読みまくるっ!」です。

ボディコピーとは…

広告文などの主要な文章部分のこと。主に短文のキャッチコピーは興味を引くために用いられ、長文であるボディコピーは商品やサービスの詳しい情報(魅力や利点など)を伝えるために用いられています。

ナラティブスクリプトは外に出るものではない、キャッチコピーのように人を惹きつけるものではないというのは理解しておりますが、ボディコピーには企画の根幹、伝えたいことが詰まっているように思われます。

良いボディコピーを読みまくれば、良いナラティブスクリプトが作れるのではないかというのが、今回の実験です。

色々悩んで何もしないよりも、何かアクションをするべし。

言うは易し、行うは難し。

やらない後悔より、やる後悔。

ということで…いざ、チャレンジ!!

今回はボディコピーを読みまくった結果、亀山的に気に入ったボディコピー5選をご紹介させていただきます!!

❶日本たばこ産業/ROOTS ポスター

日本たばこ産業/ROOTS ポスター

決して、商品の特徴やメリットを書いていないんですよね。

コピーライターの方は、”ルーツのパーソナリティを描く”と仰られていましたが、まさにブランドの世界観を表現されており、それはPRにおけるナラティブスクリプトに近いと思いました。

インナー向けの文章か、対外的な文章かで、人を惹きつける力があるかどうか。

ただ、ナラティブスクリプトも、クライアントへの競合コンペなどの提案業務で作成する場合は、結局人を惹きつけなければいけないので、結局は同じではないかとも思ったりする、今日この頃です。

このシリーズは、いくつかボディコピーにパターンがありますが、今回取り上げさせていただいたものが個人的にはスキです。

自分の仕事内容に当てはまるということもありますが、”だから…”のリズムが心地いいです。これが文章をいつの間にか読み終わっているテクニックかと思いました。

❷ドトールコーヒー ポスター

ドトールコーヒー ポスター

このボディコピーは、ドトールとスターバックスを競合視し、少し気取ったスターバックスとは好対照な立ち位置にポジショニングしたと、クリエイティブディレクターの方は仰っています。

”ドトール=働く人の味方”とし、世の中を支えているがんばる人々に「がんばらない時間」を提供していると。

キャッチコピーの”がんばる↔がんばらない”という真反対の言葉の並びによる違和感、その違和感を解消するボディコピー。がんばらない時間を肯定する潔さ。

このボディコピーは、従業員にも効くというか、ドトールで働く意味が強くなるような気がします。そういう意味で、ナラティブスクリプトの参考になると思いました。

❸日本マクドナルド/QUARTER POUNDER 新聞

大きいサイズの新しいハンバーガーが出るということで、そのサイズ感をシズルような表現ではなく、あえて”ハンバーガーが大それた思想を語る”という表現にされたようです。大きいサイズだからこそ、口を大きく開けて食べる、その行為からデカイ夢を語ることを発想されたのではないかと。

商品の特徴から、❶のようなパーソナリティ、ブランド、世界観みたいなものを練り上げられており、このボディコピーもスキです。

あと、大口を叩くという悪い意味で使われる言葉がありますが、それを連想しました。でも、その言葉はネガティブに聞こえてしまうから、大口をたたこう!ではなく、BIG MOUTH!なのでしょうか。

また、その手にあふれる自由も、肉汁に脳内で変換され、そこも意図されているのかと思います。

そういった細かい表現の精査が見られるのが、素晴らしく自分も同じように、こだわり切りたいと鼓舞されました。

❹アークレイ ポスター

恐らくこちらは人材採用の広告ではないかと思うのですが、なんと企業の人柄が出ている文章なのかと、驚きました。

一人称の語り口調の文章も、素晴らしいなと思えるボディコピーです。

人柄は表現出来ているのですが、きちんと読まれなければ意味がない。だからこそのキャッチコピーがあり、キャッチコピーとボディコピーのお互いがそれぞれの役割を全うしているのが良かったです。

❺オンワード 雑誌

こちらは女性向けアパレルブランドの広告ですが、❶同様に直接的にサービスの特徴やメリットを訴求しない、「ひとつ…」のリズムが心地いいボディコピーです

”服を着がえることで、気持ちも着がえましょう”という思いを、23のことばというフレームで表現しているのが面白いです。

中には、一般的な認識とは違うような、背中を一押しされるような、言葉がありよく23も文章を作られたなと思いました(ブランドが23だから自分でもなんとか作るとは思いますが、恐らくこの倍以上は候補を出したんでしょうね)。

直接的な表現の文章ではないけれども、ブランドの世界観が伝わるステキなボディコピーで、ナラティブスクリプトにも活用出来るフレームの表現だと思いました。

(参考図書)
ナラティブカンパニー ―企業を変革する「物語」の力
何度も読みたい広告コピー

最後に…

とりあえず、ボディコピーを読みまくって思ったことは、やってよかったということ。自分の文章力・ナラティブスクリプト作成力が鍛えられた気がします。

思い込みの魔力は確実にあると思っており、一つ成長したと思い込むことで、120%の力を発揮して、日々、プランニングに勤しんで参ります!!

次回以降のブログも、他のメンバーのブログも、ぜひぜひお楽しみにしてください!(もちろん、過去記事を見逃している方は、必ずチェックお願いします!!)

 

WRITTEN BY

亀山一樹(パブリックリレーションズ事業本部 アカウントプランニング局)

プランニングスキルを習得するべく、中途でサニーサイドアップに入社して約3年半が経過。元乃木坂46の白石麻衣・ホストのローランドと同じ平成4年生まれの世代だが、彼らほど世の中へインパクトを与えられていない自分に焦りを感じている、今日この頃。一番の推しは日向坂46の東村芽衣ちゃんです。皆様、めいめいの応援をよろしくお願いします。

※所属は執筆時と異なる場合があります

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