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開業日から大盛況!原宿の新しい文化発信拠点「ハラカド」開業PR施策の秘密とは?

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伊藤 美咲(SUNNY DAYS オフィシャルライター)

2024年4月17日、神宮前交差点に開業した東急プラザ原宿「ハラカド」(以下「ハラカド」)。新しい体験価値を享受できる場所とした創造施設で、館内にはショップや銭湯、レストランなど全75店舗が集結しています。


サニーサイドアップでは、そんな「ハラカド」の開業PRを担当!WEBニュースやテレビ番組など多数のメディアで取り上げられ、話題となりました。

「ハラカド」で多数のメディア露出や開業及びその後の盛り上がりを成功させた裏側では、どのような仕掛けがなされていたのでしょうか?

今回は東急不動産株式会社 小田 麻友美さん、東急不動産 SCマネジメント株式会社 小柴 るみさん、サニーサイドアップ 照井、石曽根の4名のクロストークを実施しました。

右から:サニーサイドアップ照井、石曽根 東急不動産 SCマネジメント株式会社 小柴さん、東急不動産株式会社 小田さん

「ハラカド」は“商業施設”ではなく“創造施設”

ーーまずは、東急プラザ原宿「ハラカド」が誕生した背景を教えてください。

小田さん:12年前、神宮前交差点にある東急プラザ表参道「オモカド」(旧:東急プラザ表参道原宿)が開業した頃から、「ハラカド」開業の計画はありました。原宿エリアにはクリエイティブな人たちがたくさんいることに着目し、この場所が持つ「路地」と「交差点」の特徴を踏まえてエリア一体の開発をしようと。才能を発掘し伸ばす「路地」と、才能が開花し発信される「交差点」が良い循環を起こして、文化創造発信のプラットフォームとなることを目指して開発を進めてきました。

そのため、「ハラカド」開業までの間には、神宮前交差点エリアの裏路地のところで、古民家をリノベーションしたイベントスペース「UNKNOWN HARAJUKU」を創り、常識に捉われない表現・発信を行うクリエイターの方々を支援する活動などを行ってきました。「ハラカド」もただ買い物を楽しむだけでなく、刺激を受けたり新しいものを発見したり、誰しもがそれを発信もできる施設として誕生しました。

照井:東急不動産さんはこの広域渋谷圏(※)での開発の方針として、もともと街にあった魅力をより研ぎ澄ませて、伸ばすことを意識されているんです。
※広域渋谷圏とは、東急グループの渋谷まちづくり戦略において定めた、渋谷駅から半径約2.5kmのエリアのことを指します

小田さん:もともと原宿は「原宿セントラルアパート」があり、そこでいろんなクリエイターが新しい文化を発信してきた背景があるので、そのカルチャーの発信力をより伸ばすことで面白いエリアにしていこうと。そのため、「ハラカド」は“商業施設”ではなく“創造施設”と謳っているんですよね。

ーー「ハラカド」の施設としての特徴は何でしょう?

小柴さん:「ハラカド」で特徴的なのは、「クリエイターズプラットフォーム」と命名している3階フロア。オフィスや会員制のカフェラウンジ、体験型の店舗など、一般的な商業施設ではあまり想像がつかないような店舗が揃っています。

当初はこのフロアを一般のお客さまに向けてどのように表現するかすごく悩んだのですが、来館者がそれぞれ自由に感じられるように、定義をつけないことにしたんです。フロア自体に感じるものがあったり、体験をサービスとして提供したり、物販でもそのフロアにあることでまた違う体験になったりと、「ハラカド」を一番象徴するフロアになっていると思います。 

ーーユニークな施設ですね。ハラカドはどんな人をターゲット層にしていますか?また、実際の客層はいかがですか?

小柴さん:通常の商業施設ですと年齢・性別などで来館者のターゲット層を決めると思うのですが、「ハラカド」では年齢や性別でセグメントをしていません。感度の高い方やクリエイター志向の方に来ていただきたいという思いはありますが、そもそもクリエイターという言葉自体、人によって捉え方が異なる、と考えています。今はSNSで誰でも簡単に発信ができる時代ですし、そうやって発信する方も広義ではクリエイターだと捉えているので、クリエイティブなことに興味のある方が一番のターゲット層になるのではと思いますが、そこに国籍・性別・年齢といったものは設けていないんです。

照井:実際、開業してみてどうですか?

小柴さん:開業時は話題になっていたこともあり、いろんな層の方に来館していただきました。総じて、「ハラカド」に興味を持ってくださった方が多かったと感じていまして、わたしたちが来ていただきたいと思っていた、「『ハラカド』のコンセプトに惹かれてくださった方」が来て、思うままに発信をしていただいているのではと思っています。

ーー「オモカド」もこのタイミングで改称されましたが、どういった狙いがあるんでしょうか?

小柴さん:東急プラザ原宿「ハラカド」という名称には、「かど」が合わさって、人々の出会いの交差点となり新しい文化を生んでいく、という想いが込められています。ここからは交差点を挟む2館で連携してエリアのさらなる魅力向上を図っていくので、旧・東急プラザ表参道原宿も東急プラザ表参道「オモカド」と改称しました。現在、それぞれが連携したイベントなんかも企画しており、 今後を楽しみにしていただけたらと思っています。

多角的なPRやテナント側の発信で開業時から大盛況

ーーサニーサイドアップにPRを依頼した経緯を教えてください。

小田さん:2023〜25年は、広域渋谷圏と呼ばれる渋谷駅を中心とした2.5キロ圏内で「ハラカド」を含む4物件の開業を迎えます。当初はそれぞれの施設ごとに施策を行っていたのですが、エリアとして盛り上げるために、戦略とそれぞれの施設の発信をセットでやっていくべきだ、そしてその進捗もあわせて発信していこう、という形で全体のPRを実施することになりました。2023年5月に、4物件の開業やエリアとしての目指す姿を東急グループとして発表し、それから今も一緒にPRを行っています。

照井:実は2012年に開業した「オモカド」の開業時のPRも、サニーサイドアップが担当していたんですよね。自分は入社してすぐに担当させていただいた案件が「オモカド」で。それから「キュープラザ原宿」や首都圏の「東急プラザ」の包括的な経常期PRをずっと担当させていただいたご縁もあり、「ハラカド」も担当しています。そのため、小柴さんとはずっと前からお仕事させていただいていますね。

小柴さん:広報を担当していた時ですので、2018年とかからですね。

ーーハラカドの開業をPRするにあたって、どのような施策を実施しましたか?

小田さん:ハラカドの“創造施設”というコンセプトをどのように伝えていくかを考えた際に、自らも積極的に発信することに関心が高い方をターゲットと考えていたので、マスメディアの力も借りながら、いろんな人が拡散したくなるような循環にのせるべきだという思いが強くありました。

「ハラカド」自体も、開業の1年前からオフィシャルSNSを開設して取り組みを発信していくとともに、テナントさんにも発信していただくような仕組み作りをしました。企業アカウントの発信は広告感が出てエンドユーザーに届きにくくなってしまうため、テナントさん側が自分ゴトとしてそれぞれの言葉でファンたちに発信することで、情報を届けやすくしたんです。そういった戦略を走らせていたので、開業のタイミングでは施設としての戦略をtoBを意識してビジネス視点で伝えるとともに、実際にいいなと思って来てくださって、またその良さを発信してくださるtoCを意識した視点で、マスメディアを通して魅力を伝えていきたいという思いがありました。

照井:通常、商業施設の開業PRは、こういう施設ができます、その中にはこういうテナントさんが入っています、という情報がニュースの中心になります。開業プロモーションのセオリーは、デベロッパーさんがプロモーションイベントを企画して、それにあわせてテナントさんに限定商品をつくってもらう、という形かと思うんですが、「ハラカド」は東急不動産さんとテナントさんとで「ハラカド町内会」という名の自治組織をつくっていて、そこから自発的に企画が発生していく、という体制になっているんです。

開業前からテナントさんと一緒に目指す施設像やイベント内容を話し合っていて、そこでテナントさん同士も繋がって、開業前に小杉湯×れもんらいふのイベントであったり、2FのCOVERというスペースを運営している日本出版販売さんのイベントをテナントさん発信でやっていたりしました。テナントさん自身が仕掛ける面白い取り組みからコアなファンを増やしていこうという戦略なのですが、開業前から実施する商業施設は他にないと思います。

小柴さん:すでに開業前に、テナントさんが主体的に集まって「ハラカドの門出」というイベントを2度ほどやっていて、いわゆる懇親会ではあるんですが、「ハラカド」を盛り上げようとこういったイベントが実施されています。そこへの参加率もとても高かったですし、デベロッパーが介在せずにこういう取り組みをやろう、と自然と始まったりするのは、これまでにない魅力だなと思っています。

小田さん:これまでにない施設だからこそ、関わる人も大勢いるんですよね。その中で自然発生的に面白い取り組みが始まったりしますし、ひとりひとりの思いもとても強いんです。ここを取り上げてほしい!という関係者の方々の思いや取り組みを、この施設自体のコミュニケーション戦略にのせて紡いでいくことと、広域渋谷圏の再開発プロジェクトの戦略にも沿わせて発信していくことの両立が、面白い施設である分、最初はなかなか大変でしたね。

ーーメディア露出をする際にこだわった部分は?

石曽根さん:このプロジェクトのSRチーム(ソーシャルリレーション局所属チーム。メディアへのプロモート活動業務を行う)は、去年の5月から「フォレストゲート代官山」や「Shibuya Sakura Stage」を一緒に担当してきたメンバーなので、広域渋谷圏の開発意図や、その上で「ハラカド」をどう伝えていくかを理解しているチームがしっかりとできあがっていました。そのため、例えば飲食店のテナントさんにフォーカスした露出になりそうな企画に対して、メディア側の要望を汲みつつ、「ハラカド」という施設自体のコンセプトや魅力を組み込んでもらうチャレンジは徹底してできていましたね。

小田さん:メディア側にはメディアの伝えたいことがあるのは理解はするものの、こちらの伝えたいことを交渉するとか、両方を折衷できる新しいアイデアだったりをすごく切磋琢磨しながらやっていただいた、というのはヒシヒシと感じました。わたしたちから「こう露出させたい」というのを伝えて、その通りに対応してもらうことはもちろんなんですが、今回はそれを言わなくても対応してもらえたり、逆にこういう取り上げ方もしてもらえるんだなという発見があったので、サニーサイドアップさんは信頼申し上げております(笑)

石曽根さん:ありがとうございます(笑)商業施設の開業って、それ自体は必ずニュースになるんですよね。「本日『ハラカド』が開業しました」というストレートなニュースだけで終わりたくなかったので、お客さまに楽しんでもらえる「ハラカド」のさまざまな要素を、何度もメディアの方々とすり合わせをしました。「ハラカド」はいろんな要素を含んだ施設なので、各メディアに合わせた提案ができたり、読者に合わせたメッセージを届けられたりしたのではないかなと。

小田さん:ともすると、「銭湯がある商業施設」で終わってしまうと思いますが、それではいけないという裏テーマをもって活動してくださってありがたかったです。

照井さん:メディアの方も最初は「銭湯が入っている商業施設ね」という入口から興味をもってきてくださるんですけど、「でもね、実はこういう施設でこんなポイントがあって」というのをちゃんと説明して内覧会などでも見てもらうようにすると、ちゃんと面白がってもらえましたね。

石曽根さん:結果的に、開業期だけで50番組以上に紹介してもらいました。「ガイアの夜明け」や「王様のブランチ」、「サスティな!」「ヒルナンデス!」 のように企画の尺が長くてじっくり紹介してもらえるような番組も多数ありました。“ブランチ”や「ヒルナンデス!」では切り口や取材するテナントさんを変えて、複数回紹介してもらっています。「ハラカド」の要素の多さとその要素を番組や企画に変えて柔軟にSRチームが提案してくれたからこその露出だと思います。SRチームの「ハラカド」愛が強くて、フロアごとの小話を含めた資料を内覧会で対応を手伝ってくれるヘルプチームにも渡していたんです。コアメンバーが対応できなくても同じぐらいの情報をメディアにインプットできたので、そういった連携が何度もメディア露出できた結果にも繋がったのかなと思います。

照井さん:取材件数が多いのは想定内ですが、オンエア尺も長く、何回も取り上げていただいたのは良い結果でしたね。

小柴さん:テナントさんが主体的にイベントを実施したり、これまでの施設にはなかった打ち手の多さが、「ハラカド」らしさを伝えるさまざまな要素となって、「ハラカド」の魅力を伝えるメッセージングに効いてきたのかなと。みんなで切磋琢磨して創り上げたものが番組側に魅せられる切り口となって、このような結果になったのかなと思います。

▼内覧会当日の様子はこちらから
新たなカルチャーの創造・体験の場、原宿の新名所「ハラカド」オープン!内覧会の様子をお届けします📸

ーー「ハラカド」開業後の反響はいかがですか?

小柴さん:開業したばかりではありますが、すでに再来してくださっている方が多いのは評価できるポイントだと思います。「ハラカド」はコミュニティの拠点になりたいという思いもあるので、近隣の方からの好評の言葉はすごく嬉しいですね。新しい施設はその街と馴染む必要があると思うのですが、「銭湯を入れてくれてありがとう」「生活が完結する施設ができて嬉しい」といったリアルな言葉をいただくことができて1番ほっとしました。

とはいえ今後、「ハラカド」は開業し経常期に向かっていく中で、継続して盛り上がっていくフェーズです。テナントさんからの意見も取り入れつつ改善を重ね、より良い施設にしていきたいと思っています。

小田さん:社内からの反響ですと、新しい取り組みが多いこともあり「ハラカド」が開業する以前では、なかなか会議の中だけでは、社内のみなさんにイメージが伝わりきっていなかったように思うのですが、実際に開業してみて来館されたお客さまの表情だったりメディアの報道やSNSでの発信のされ方を見て、このプロジェクトの価値が伝わったかなと。しっかりと世の中にメッセージが伝わって、その反応をもらえているのはPRの力だと思いますし、多方面にこのチャレンジを評価いただいているなと感じています。

照井さん:サニーサイドアップのメンバーが、地方に住んでいる家族から「『ハラカド』っていう新しい施設ができたらしいよ、行ってみたい」と言われたらしくて。いろんな人に情報が届いてるんだなと実感しました(笑)。東急不動産さんやテナントさん、サニーサイドアップチームでそれぞれの思いやブランディングがある中、チーム一丸となってハラカドの面白さを伝えることができたのは良かったと思います。

さらに盛り上がっていく「ハラカド」に乞うご期待

ーーサニーサイドアップとの取り組みはいかがでしたか?

小田さん:サニーサイドアップのみなさんにはハラカドのメッセージ作りから一緒に考えていただいたことで、メディア目線を含めたメッセージが作ることができたと思っています。おかげでユーザーにメッセージを戦略的に届けることができましたし、一つひとつの露出の質を上げることができました。これだけ多くのメディア露出ができたのは、間違いなくサニーサイドアップのみなさんがいたからこそだと思っています。

小柴さん:わたしたちが言語化してない部分まで汲み取っていただけたのは、素晴らしいなと思っていました。サニーサイドアップのみなさんとは、一緒に「ハラカド」を作ったようなワンチーム感がありましたね。

ーー最後に、今後のハラカドの展望を教えてください。

小柴さん:今後は、テーマを決めてイベントを開催する「ワラカドデー」を開催することを予定していたり、テナントさん同士の協業も生まれたりしているので、ぜひ楽しみにしていただけたらと思います!

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新しい価値や体験を享受できる原宿の新しい文化発信拠点、「ハラカド」。まだ行ったことない方も一度来館した方も、足を運びたくなったのではないでしょうか?

テナントごとにさまざまな施策を実施していたりイベントを企画したりしているので、何度行っても新しい発見があるはず。サニーサイドアップでは、今後もエリア一体を盛り上げていきます!

サニーサイドアップが手がけた他プロジェクトの記事は、こちらをご覧ください。

 

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伊藤 美咲(SUNNY DAYS オフィシャルライター)

フリーランスのライター。インタビュー記事やイベントレポート、コラムなどの執筆を手がける。ジャンルはエンタメ、旅行、食、ビジネスなどあらゆる領域を担当。音楽と紅茶と焼き菓子が好き。

※所属は執筆時と異なる場合があります

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