PR Techの先駆者ビルコムがサニーサイドアップグループにジョイン――変化していくPR・コミュニケーション領域で“より遠く”へと進むために
2026年1月26日、PR Tech®を最前線で牽引してきたビルコム株式会社が、サニーサイドアップグループの一員になることが決定しました。
ビルコムは、広報部向けSaaS「PR Analyzer®」をはじめとする自社開発ソフトウェアにより、社会におけるPRの熱量データを可視化し、統合型PRソリューションを展開、データとテクノロジーでPRの高度化と効率化を支援しています。
一方で、わたしたちサニーサイドアップグループは、セールスプロモーション、マーケティング、IP、事業開発など、PR発想を軸としたさまざまコミュニケーションソリューションで、社会に“たのしいさわぎ”をおこしてきました。
同じPR・コミュニケーション領域で切磋琢磨してきた両社が、なぜ今、ひとつの旗印の下に集うことになったのか。
今回の対談では、ビルコム代表取締役兼CEOの太田滋(おおた しげる)氏と、サニーサイドアップグループ代表取締役社長の次原悦子(つぎはら えつこ)が、ジョインの経緯や背景、そしてPR・コミュニケーションのこれからについて語り合いました。

左よりビルコム代表取締役兼CEOの太田滋氏、サニーサイドアップグループ代表取締役社長の次原悦子
―― ビルコムのグループジョインは、いつごろから考えられていたのでしょうか。
太田:正直に申し上げると、まったく検討もしていませんでした。
ビルコムは2003年の創業から22年を迎え、業績は堅調。PR効果測定ツール「PR Analyzer」の導入社数も順調に伸びていますし、100名規模の組織として、独自路線での成長に十分な手応えを感じていたので、想定の範囲外でした。


PR効果測定ツール「PR Analyzer」の管理画面
次原:ビルコムは創業から22年だけど、それまで一度も考えたことはなかったの?
太田:はい。これまで国内・海外の企業から、何回かお声がけをいただいたこともありました。ですが、どうしても一緒にやっていくことが想像できず、結局は話がまとまることはありませんでしたね。

――その“想定外”を意識するようになったのは、どのような経緯からでしょうか。
太田:サニーサイドアップグループとの最初の接点は、昨年2025年の春ごろでした。
共通の知人を介した本当にカジュアルな食事会で、リュウ シーチャウさん(株式会社サニーサイドアップ 代表取締役社長)とお会いしたのが始まりです。その時は、同業の情報交換くらいのつもりで、お互いに今のような形になるとは考えてもいなかったと思います。
次原:確か、「クマ」を食べる食事会でしょ?(笑)。シーチャウと同じで、太田さんもクマがお好きなのかしら。
太田:わたしはジビエが好きなんです(笑)。その食事会でシーチャウさんに「一度オフィスに遊びに来ないか」とお声がけいただきました。

オフィスを訪問して、役員の方々や現場メンバーとお話しするなかで、すごくカルチャーが似ていると感じました。
想像していなかったグループジョインが選択肢に浮かんできたのは、理屈を超えて「目に見えない波長」が合っていると感じたことが、一番大きな要因だったかもしれません。
次原:波長が合うかどうかは、すごく大事なことだとわたしも思います。みなさんもお気づきだと思うんですけど、太田さんはすごく真面目で素敵な方。今日も「少しお話しましょう」と軽めな座談会のつもりだったのに、しっかりとメモと資料を用意してくださって…。
太田:そういう性分ですから(笑)。
背中を押された大きなきっかけのひとつが、次原さんとのランチでした。お会いするまでは上場企業の経営者でいらっしゃるし、きっと規模の追求を第一にあるのではないかと考えていました。
ですが、それだけではなくて、「PR・コミュニケーションを通じて、社会にインパクトを与える会社でありたい」というお話をしてくださいました。わたしはそれで次原さんのことを、「資本主義と文化主義の両輪を大切にされている方」と受け止めました。
次原:「文化主義」という表現、太田さんらしい知的な表現で良いわね。そう感じ取ってくださってありがとう。
太田:次原さんとの会話は本当に大きなきっかけで、会社の業績だけを追うのではなく、社会にとってどのような大切なものを残していけるのか。一緒になることでどのような価値を作っていけるのか。そういうお話を長い時間させていただいて、グッと引き込まれたところがありました。
――次原さんは、太田さんやビルコムについて、どのような印象をお持ちですか。
次原:わたしは太田さんが送ってくれた、ビルコム創業時を紹介した動画の印象が大きかったですね。

当時26歳の太田氏と、世界最大級の独立系PR会社の社長
当時26歳の太田さんが、無謀にもアメリカ・シカゴにある世界最大級の独立系PR会社の創業者にアポを取り、経営指南を受けに行く――あの「情熱大陸」みたいな熱気は、わたしたちの始まりとそっくりでした。
太田:自分たちで手作りした研修用の動画です。次原さんからも、ご自身のナレーションで、創業時の土地をケータイのカメラで撮りながら振り返る動画を送ってくださいましたよね。

サニーサイドアップグループのスローガンである「たのしいさわぎをおこしたい」というメッセージが動画のいたるところにあふれていて、わたしたちビルコムの“共感あふれる未来をつくる”というミッションととても似ていると感じました。「情緒的な価値で社会を明るくしていく」という方向性が非常に似ていますよね。
次原:太田さんが送ってくださった動画を見て、わたしもすごく似ていると思ったからわたしたちの動画もお送りしました。
太田さんの動画を見た時に、ビルコムにはビルコムのドラマがあり、そこには太田さんという主人公がいると、改めて強く感じましたね。
サニーサイドアップグループにも40年余りのドラマがありますが、それと同じくらい、ビルコムが22年かけて積み上げてきた歴史とプライドをリスペクトしなければいけないと思いました。
太田:まさにランチの際に、「どちらが上下とかではなく、集団経営を一緒にしていきましょう」とお話しいただきましたよね。
そして、それがその場だけの言葉ではなく、次原さんの寛容さや包み込むような何かが、サニーサイドアップグループのカルチャーになっていると感じました。次原さんだけではなく、お会いしたみなさんから、その姿勢や文化を感じ取ることができましたから。

次原:わたし自身、普通の会社だったら絶対にやっていけない人間かと思います(笑)。あちこちに興味関心が飛ぶし、優等生タイプではなかったですから。
でも、そんな個性を型にはめることなく、たくさんの方々に認めていただいたから、今がある。
だからこそ、太田社長を含めビルコムのみなさんの個性も、サニーサイドアップグループという大きな器の中で、より自由に活かしてほしいです。
―― PR・コミュニケーション領域が変革期を迎える中で、とりわけPR業界において、この2社が仲間となることはどのような価値を生むのでしょうか。
太田:まずわたしは、従来のPRには「不確実・不透明・非効率」という「3つの不」があると感じています。
22年間実務を続けるなかで、ずっとこの課題と向き合ってきました。今はデータやテクノロジーを使うことで、不透明な部分を数字で見えるようにしたり、非効率な作業を減らして人間がクリエイティビティを発揮できる時間を増やしたりできる。これがわたしたちの掲げる「PR Tech」の役割です。
次原:わたしは2022年度に国際PR協会(IPRA)の会長もさせていただいたことがありますが、創業当時は「PR会社をつくろう」と決めて始めたわけではありませんでした。目の前の人の困りごとに向き合い続けた結果、それがPR・コミュニケーションの仕事だったんです。
だからこそ、グループ全体として「PRだけの会社」で終わりたくないっていう想いがずっとある。もちろんPRはわたしたちの圧倒的な強みだけれど、それだけじゃない、もっとワクワクする事業を仕掛けていきたいですね。
太田:はい。わたしもPRはあくまで手段のひとつであり、そこを起点に統合的にコミュニケーションをとることが、これから一層求められると思います。
サニーサイドアップグループには、中田英寿さん(現 同グループ 執行役員エグゼクティブオフィサー)のマネジメントから始まったタレントの力や、オールデイダイニングレストラン「bills」で、スクランブルエッグに「世界一の朝食」というキャッチコピーをつけ話題化に成功したエピソードような、新しい文化を形にする圧倒的な実装力、さらにIP事業といった素晴らしい資産がありますよね。

bills 七里ヶ浜
そこにビルコムの「PR Tech」が加わることで、より幅広いコミュニケーションソリューションの提供体制が構築できるはずです。
次原:今までは「なんとなく面白い」で終わっていたかもしれない部分に、ビルコムのデータに基づく分析力が加わる。これって最強の武器になると思います。
現場のメンバーからも「こんなツールがあったら便利なのに」という「不」はたくさん出ているはずだから、そこを一緒に形にしていきたいですね。
太田:まさにそうですね。お互いの知見をシェアしたり、研修に参加し合ったり、会社の横断プロジェクトを立ち上げたり。
単にシステムを導入するだけでなく、グループ全体の人財が混ざり合うことで、PRという枠組みを超えた新しい価値が生まれていくと確信しています。
――今回のジョインについて、ステークホルダーへのメッセージをお願いします。
太田:同じ方向を向き、心から共感できるグループにジョインできることを、本当に光栄に思っています。
ビルコムのメンバーやお客さま、関わってくださっているたくさんのステークホルダーのみなさまにお伝えしたいのは、今まで培ってきたわたしたちの強みや誠実さ、そしてビルコムのミッション・カルチャーは何も変わらないということです。

そのうえで、せっかくジョインするので、より大きなステージに羽ばたき、仲間と一緒に新しいものを作っていく。わたしたちの強みは、やはりPR Techです。
サニーサイドアップグループという大きなステージで、社会により大きな価値を提供し、変革していく力になっていきたいと、強く思っています。
次原:この年末年始にタンザニアを訪れた際、「早く行きたければ一人で行け、遠くへ行きたければ一緒に行け」というアフリカのことわざに触れました。
今、その言葉が驚くほど腹落ちしています。
1985年の創業から40年、これまでたくさんの仲間と歩んできましたが、これからさらに「遠く」の未来を見に行くためには、ビルコムという仲間が必要でした。

「たのしいさわぎをおこしたい」というスローガンのもとに集まっているわたしたち。今グループにいるメンバーはもちろん、ビルコムという心強い仲間たちとともに、もっと遠くを目指していきます。

――きれいにインタビューがまとまったところで、突然ですが…サニーサイドアップグループとビルコムはどちらも「たまご」をモチーフにしたロゴだそうですね。ということで、今からお互いを「卵料理」に例えていただきたいと思います!

左よりサニーサイドアップグループ、ビルコムのロゴ。それぞれ左に「たまご」をモチーフにしたデザインがある。

太田:そうですね…(笑)。次原さんは「だし巻き卵」だと思います。柔らかく、温かく包み込んでくれる一方で、中には積み重ねてきた哲学という「出汁」がしっかり効いている感じですね。

ちなみに、わたしは「半熟卵(ゆで卵)」を描きました。まだ半熟の黄身は、とろみがあって可能性がひろがっていくようなイメージです。おっしゃる通り、ビルコムのロゴにも卵が入っているので、今回の両社のプロジェクトも「EGG プロジェクト」と呼んでいました。
次原:わたしは太田さんを「ハードボイルド(固ゆで卵)」と例えました。その揺るぎない誠実さと真面目さは、まさにプロフェッショナルの証。でも、それはとても優しいハードボイルドです。

――ちなみに次原さんご自身を卵料理に例えると?
次原:それはやっぱり「サニーサイドアップ」でしょ!
ふんわりと出汁の聞いた「だし巻き卵」と、可能性あふれる「半熟ゆでたまご」。新しい仲間とともに確かな熱量でしっかりと温めて、社会という大きなお皿にわくわくするような味わいを提供していきたいと思います。
ビルコムという強力なメンバーを仲間に加えた新生サニーサイドアップが生み出す新たな“たのしいさわぎ”に、ぜひご期待ください!



