セイロンティーから始まる社会貢献の循環。大阪・関西万博開催に合わせて行われた「セイロンティー茶園品評会 2025」レポート|行ってきました
2025年9月、大阪・関西万博の開催に合わせて、「セイロンティー茶園品評会 2025」がグランドプリンスホテル大阪ベイにて開催されました。紅茶を通じた社会貢献と持続可能性をテーマに、スリランカ紅茶の魅力とその背景にある文化・人々の営みを伝える国際的なチャリティーイベントの模様を、広報の河村がレポートいたします。

主催の一員として深く関与したのが、フランス発の紅茶ブランド「Janat Paris」。本イベントでは、同ブランドが支援する女性支援団体「Femmes du Monde(ファム・デュ・モンド)」もパートナーとして協力し、紅茶産業に従事する女性たちの支援や、教育・医療・リーダーシップ育成など、多方面での取り組みが紹介されました。
JanatとFemmes du Mondeは、特にスリランカの茶園コミュニティに焦点を当て、働く女性たちの生活環境の向上と社会的自立を支援しています。教育や職業訓練を通じて品質管理の向上を図るほか、医療アクセスの整備や産後ケア、業界内での意思決定への参画促進など、持続可能な社会を支えるための長期的な取り組みが行われています。
スリランカ政府・スリランカ紅茶局の主催、そして女性支援団体「Femmes du Monde」など多数の組織のサポートのもと開催された本イベントは、持続可能な産業の未来を考えるきっかけとなり、紅茶が社会にもたらすインパクトを五感で体感できる場として、多くの関係者の関心を集めました。
アウトクライ・オークションが伝える“紅茶のライブ感”
イベントの目玉のひとつが、スリランカ伝統の「アウトクライ」方式によるティーオークション。声を上げて競り落とすライブ形式のオークションは、紅茶にかける熱意と駆け引きが交錯する迫力ある体験。まさに“紅茶のライブ”といえる緊張感と臨場感が会場を包み込みました。

この日、特に注目を集めたのが、Janat Parisが125万円で落札した紅茶ロット。この価格は「オークションで販売された紅茶として世界最高額」としてギネス世界記録™に認定され、参加者の注目を集めました。

また当日は、駐日スリランカ大使 ピヴィトゥル・ジャナック・クマーラシンハ教授、スリランカ輸出開発局局長 マンガラ・ヴィジェイシン氏、日本紅茶協会専務理事 秋庭 浩平氏といった紅茶業界のキーパーソンも出席し、本イベントが業界だけでなく国際社会においても大きな意義を持つものであることがうかがえました。

自然と歴史が息づく紅茶のふるさと
オークションで語られた“産地のストーリー”も印象的でした。「Lovers’ Leap(ラバーズリープ)」という名の茶園は、近くにある滝の名前に由来しています。この滝には、かつて身分違いの恋に落ちた若い男女がその身を投げ、永遠の愛を誓ったという伝説が残されています。こうした物語が、紅茶に込められた土地の記憶や人々の想いを一層深く感じさせてくれます。さらに、ピドゥルタラガラ山の麓に広がる茶畑など、紅茶の背後には豊かな自然と文化、そして歴史が息づいていることを実感できました。
紅茶の品質を決定づける“微気候(マイクロクライメート)”も、スリランカならではの特性。標高や森林由来の水系、気候風土の違いが、味や香りに個性を与えています。
スリランカの紅茶は主に「7つのアグロ・クライマティックゾーン(気候農業地帯)」に分類され、地域ごとに異なる風味が育まれています。たとえば、ヌワラエリアでは繊細で爽やかな香り、ディンブラではまろやかでコクのある紅茶が生まれ、ウバ、キャンディ、ルフナ、ウダプッセラワ、サバラガムワと、それぞれに個性豊かな魅力があります。
女性が支える紅茶産業、その背景にある循環の力
フランスの紅茶ブランド「Janat International」代表のベジット・イデアスさんは、なぜ紅茶を通じた女性や子どもの支援が重要なのかをこう語ります。
紅茶産業は、女性たちの働きによって支えられている。紅茶の品質はもちろん、その背後には家族を支える母たちの努力がある。それを正当に評価し、支援につなげる仕組みが必要です。

紅茶は単なる嗜好品ではなく、人々の生活や社会を支える循環の一部であるというメッセージが印象的でした。
「紅茶=体験」だと語る、現地のリーダーたち
スリランカ最大級の紅茶取引企業である「Siyaka Group」の会長であり、同時に紅茶産業の発展に大きく貢献してきた紅茶業界のキーパーソンであるアニール・クックさんも、紅茶が持つ“体験価値”を次のように語ります。
紅茶の価値は、ただの飲み物としてではなく、体験そのものとして語られるべきものです。高地で育まれる茶葉の風味は、気温・酸素量・森林からの水流、そして人の手による丁寧な工程がすべて相まって完成します。だからこそ“現地に足を運び、空気を吸い、土を踏みしめる”ことが、品質を本当に理解する近道なのです。

スリランカの紅茶産業は、栽培から輸出に至るまでのバリューチェーン全体でおよそ200万人の人々が関わっており、その“命の循環”を守る使命を強く感じていると語ります。
また、彼はセイロンティーの持つストーリー性にも触れました。Lovers’ Leapのような伝説や、茶園にまつわる土地の記憶が、ただの飲み物ではなく“文化としての紅茶”を形づくっているとのこと。そして、その価値を最も繊細に理解し、愛してきたのが日本の消費者であり、「日本なくしてスリランカの高地産紅茶の成長はなかった」とまで語っていただきました。
五感で伝える、“PR・コミュニケーション”の可能性
本イベントは、味・香り・ストーリー・社会的意義のすべてが一体となった体験空間でした。PR・コミュニケーションに携わるものとして、多くの学びを得ることができました。

日常の一杯の紅茶が、遠く離れた国の子どもたちやコミュニティと繋がっている。その事実を、丁寧に、そして豊かに伝えることこそが、わたしたちPRパーソンの使命だと改めて感じました。
サニーサイドアップグループは、これからも「PR・コミュニケーション」の力で、価値あるものの背景にある想いや意義を世の中に届けていきます。
最後に…フランス館で楽しまれた“ジャンナッツ紅茶”
Janat Parisの紅茶は、大阪・関西万博のフランスパビリオン1階にある、メゾンカイザーが運営する公式ベーカリー「BOULANGERIE」にて、会場限定フレーバーの紅茶缶や焼き菓子とともに提供されました。

ジャンナッツ・メゾンカイザー・フランス館のトリプルネームで展開された紅茶缶は、「赤い糸の伝説」をモチーフにしたデザインと、アールグレイ1869、ジュテーム(ストロベリー)、ポムダムール(焼きりんご)といった華やかなフレーバーが特徴。五感で楽しむ紅茶体験が万博でも展開されていました。
サニーサイドアップグループでは、さまざまな商品・サービスのPRコミュニケーションを手がけています。
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