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サニーサイドアップグループが国際認証制度「B Corp™︎認証」を取得!B Market Builder Japan共同代表 鳥居さんと考える、サステナブルな社会

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伊藤 美咲(SUNNY DAYS オフィシャルライター)

2024年6月、サニーサイドアップグループは、サステナビリティを体現する企業の証とも言われる国際認証制度「B Corp認証」を取得しました。

日本でも取得を目指す企業が急激に増え、注目が集まっているこの認証制度。一体どのような仕組みで、どのような価値があるものなのでしょうか?

今回はB Corpムーブメントを推進するB Market Builder Japan 共同代表の鳥居 希さんと、サニーサイドアップグループのB Corp認証取得を担当した株式会社サニーサイドアップグループ 執行役員 谷村 江美のクロストークを実施。B Corp認証そのものについてや日本のサステナビリティの現状、認証取得後のビジョンなどをたっぷりと語っていただきました。

サステナビリティを体現する企業の証「B Corp認証」とは

ーー前半では、鳥居さんにB Corp認証について解説していただきたいと思います。まずはB Corp認証がどのような認証制度であるか教えてください。

鳥居さん:B Corpは、2006年にアメリカではじまった、ビジネスを通じて社会を変えるムーブメントです。B CorpのBは「Benefit for all(あらゆるものにとって利益があること)」の頭文字、for all(あらゆるもの)はすべての人と地球を指しています。

B Corp認証は、米国のNPO法人「B Lab™︎」が運営しており、社会性と利益を両立する事業を展開する企業が、社会的・環境的パフォーマンスや透明性、説明責任などについて、B Labが設定した厳しい基準をクリアすることで取得することができます。

B Corpが目指すのは、インクルーシブ(包括的)かつ公平でリジェネラティブ(再生型)な経済。B Corp認証の取得はそのための通過点です。

B Corp認証は、サステナビリティを体現する企業の証とも言われます。サステナビリティと聞くと、環境に対してのイメージを強く持つ方も多くいらっしゃると思いますが、そのほかにも人権や労働環境、ジェンダーギャップの解消なども含まれています。どれもが実現できて初めて、「サステナブル(持続可能)な社会」と言えるんです。

2024年7月末時点で、B Corp認証を取得している企業は全世界で8,943社。日本は今年の6月に取得したサニーサイドアップグループを含めて43社、そして審査中の企業は同じくらいある状況です。世界の取得状況と比べると日本の取得数率は低いと思われがちですが、今はB Corp認証取得を目指す日本企業も着実に増えています。

ーーB Corp認証は、どうすれば取得できるのでしょうか?

鳥居さん:B Corp認証の取得は、「B Impact Assessment(以下、BIA※)」というオンラインのアセスメントを受けるところから始まります。

5つの評価エリア「ガバナンス」「ワーカー」「コミュニティ」「エンバイロメント」「カスタマー」に分かれるおよそ200〜300問の設問に答え、回答によって得られたスコアが80ポイントを超えると、B Corp認証の申請をすることができます。その後、会社情報の確認やオンライン面談、ドキュメント提出など第三者による検証プロセスを経て、正式に認証を取得できます。

※企業が与える社会や環境に対するインパクトに対する評価

世界中で関心が高まるサステナビリティと「B Corp認証」

ーーサステナビリティへの世界的な関心の高まりや、B Corp認証がもたらす社会的・環境的な影響や、期待される効果について教えてください

鳥居さん:B Corp認証制度を運営するB Labの発祥はアメリカで、審査も英語で進められることから、B Corp認証の取得企業は欧米を中心に増えていました。ですが、現在は世界各地にその地域のB Corpムーブメントを推進するB Labグローバルパートナーがいるため、B Corp認証は世界中でひろがっています。世界的なサステナビリティへの関心の高まりが、B Corpが注目される要因にもつながっていると感じます。

B Corp認証の基準の中に「インパクトビジネスモデル(IBM)」という項目があるのですが、これは「社会性」と「利益」が二項対立するものではなく、双方が実現して初めて企業が発展するという考えを表しています。企業が売上を伸ばすためには、社会や環境への配慮が必要不可欠。こうした考えを持つ企業や経営者が増えることで、サステナブルでより良い社会が実現するのではないかと考えます。

日本には数多くの優れた企業がありますが、サステナビリティへの取組みを見直さなければならないと感じながらも、具体的にどのようにアクションを起こせばよいか分からない企業も多いのではないでしょうか。B Corpの基準を用いることで、ソーシャルグッドな取り組みがスムーズに進むことを期待しています。B Corp取得企業だけでなく、取得を目指している企業や、認証企業と取引をしている企業、または出資している企業がB Corpの基準を理解することで、より良いビジネスに資金を投じ、企業のさらなる発展につなげて欲しいと思います。

サニーサイドアップグループが目指す、社会や環境に貢献する“たのしいさわぎ”とは

ーーここからは谷村さんにお話を伺います。サニーサイドアップグループのサステナビリティに関する取り組みについて聞かせてください。

谷村:サニーサイドアップグループは創業40年目を迎える企業です。創業以来、一つの会社のDNAとなっているのが、「PRコミュニケーションの力で世の中を良くしたい。」という想いです。

サニーサイドアップグループの代表的なソーシャルグッドアクションの一つに、貧困撲滅の世界的アドボカシー活動「ホワイトバンド・プロジェクト」があります。「3秒に1人、貧困により子どもが命を落としている」という現実を1人でも多くの人に知ってもらう、そのための意思表示として発売した白いリストバンドは、3ヶ月で約600万本を売り上げ、日本でも一大ブームとなりました。これは、貧困や格差、環境などのグローバルな社会問題に対して、日本国内でも目を向けてもらい、さらにはこうした課題に対して、人々がアクションをとるきっかけを作ったという点で、大きく貢献できたのではと考えています。

 

プロジェクトが実施されていた頃、わたしはまだ入社前で、何気なくコンビニでホワイトバンドを買って身に着けた一人でした。入社してからプロジェクトのことを深く知り、すごく感銘を受けたのを覚えていますね。今はサニーサイドアップグループのコミュニケーションの力を活用して、世の中に知ってほしいことを率先して伝達することで、社会にインパクトを与えたいと思いながら業務に取り組んでいます。

わたしたちがソーシャルグッドな活動を通じて、社会的責任を幅広い視点で見直すことにより、より一層社会や環境に貢献する“たのしいさわぎ”をおこすことができると考えるようになりました。

ーーサニーサイドアップグループでは、女性メンバーが多く活躍しています。先ほど鳥居さんがおっしゃっていたように、サステナビリティではジェンダーギャップの解消も課題となっていますが、どのように感じていますか?

谷村:わたしはホールディングスの執行役員として、企業価値の向上に向き合っている立場です。サニーサイドアップグループは代表が女性であることに加え、メンバーの6割が女性で、さらに取締役役員の半数が女性であり、女性が活躍できる風土というのがごく自然に育っていったように感じます。

わたしたちらしいダイバーシティの実現を目指して、メンバー一人ひとりが自分らしく働ける環境を作るため、さまざまな取り組みを行っています。

例えば、わたしはこの数年「女性のヘルスケア」をメインテーマに、さまざまな施策に取り組んでいます。女性は特に、特有のヘルスケア課題があったり、妊娠・出産などにも一人ひとりライフスタイルが異なるため、「情報を知るのが遅くて間に合わなかった」「知らなかったからより良い方法を選べなかった」ということがないように、知識のシェアやアクションへの働きかけが、社内だけでなく社会全体にできればと思っています。

思わず涙…サニーサイドアップ、B Corp認証取得の裏側

ーーそんなサニーサイドアップグループも、B Corp認証を取得しました。取得への取り組みを経て、感じたことを聞かせてください。

谷村:B Corp認証は、会社が一丸となって取り組まないと取得できないんです。取得までのプロセスを経て、わたしが所属するブランドコミュニケーション部だけではなく、コーポレート部門全体でひとつの目標に向かうという経験ができました。

人事や総務、経理といった各部署が企業にどんな機能を果たしているかを幅広く捉えたり、現行の数ある制度や施策についても、目的やターゲットが不明瞭になってはいないか、価値を見直す、良い機会になったと感じます。

BIAのスコアを見ることで、会社に足りない部分も明確になりました。「CO2を排出する事業モデルではないからこそ、削減に対する主体性に欠ける」ということや、「人権が大切であるという、当たり前のことに取り組めていなかった」など…。このアセスメントを通じて当社グループの課題を可視化できることは、持続的な成長のために、大きな価値になるものだと感じます。

ーーB Corp認証を取得したときの心境はいかがでしたか?

谷村:B Corp認証を取得するのは、本当に大変でしたので、認証取得の連絡を受けたときは、思わず涙が溢れそうになりました。

ですが、まだまだB Corp認証の存在を知らない人もいれば、名称は聞いたことがあっても本質的な価値までは理解できていない人もいます。そのため、まずは社内のメンバーに価値を理解してほしいなと。そして、今後はより一層サステナビリティの風土を醸成していきたいと思います。

B Corp認証の基準はアップデートされていくので、ずっと同じことをやっているだけではダメなんですよね。取得して終わりではなく、わたしたちの取り組みや認識も更新し続けていく必要があるなと思います。

鳥居さん:B Corp認証は、取得までのプロセスがとても重要だと思います。アセスメントだとたったの2行で書いてあることも、実際に行動に移すとなると、大量のタスクがあるんですよね。

谷村:アセスメントの設問では、AとBからなる選択形式のものがありました。その中には、「Aを選ぶとあまりスコアがもらえないのに、Bを選べばこんなにスコアがもらえるの⁉︎」と思う設問もあって。本質的な理解をしないとゴールには辿りつかないので、たくさんのインプットが必要でした。

鳥居さん:だからこそ、B Corp認証には実際に取り組んだ企業にしかわからない価値があるんですよね。

谷村:そうですね。また、言うまでもないですが、B Corp認証を取得すると、サステナビリティに力を入れていることがグローバル基準で伝えられるのもメリットになると思います。認証を得るのは容易ではありませんが、取得したい気持ちがあれば、不可能でもないですし。

鳥居さん:取得企業は、業種も規模もさまざま。あらゆる企業がひとつのことを目指して取り組めるのは、素晴らしいですよね。

今後の日本のサステナビリティについての考え

ーーB Corp認証を通じて、企業が目指すべき方向性についてはどう考えていますか?

鳥居さん:「インクルーシブかつ公平でリジェネラティブな経済を実現するために自分たちが存在している」という認識を持って、それぞれの事業を推進することが求められていると思います。そうでなければ、将来的にはビジネス自体が持続不可能になるのではないかなと。

谷村:企業がそれぞれの業種・業界の中で、社会を変革していくためにできることを自発的に考えて、行動に移すことが大事ですよね。肝となるのはB Corp認証を取得すること自体ではなく、取得をきっかけにサステナビリティについて考え、行動するようになることだと思います。

ーーB Corp認証の取得企業として、今後サニーサイドアップグループが目指すサステナビリティのビジョンを聞かせてください。

谷村:わたしたちは、サニーサイドアップグループが「サステナビリティを頑張っている企業」として知ってもらいたいわけではないんですよね。サステナビリティに力を入れているのは、企業として前提の話。

当社グループが社会に対して与えることができるインパクトは「たのしいさわぎをおこしたい」というスローガンを基盤に、メンバーたちがクライアントさまに提供しているコミュニケーションソリューションや、企業がチャレンジしているソーシャルグッドな取り組み一つひとつの中にあると思います。そのため、1社でも多くの企業にこの認証制度や社会の現状を知っていただくことが、PR・コミュニケーションを展開する企業である、わたしたちの社会貢献になるのではないかなと思っています。

鳥居さん:100年後の世界にB Corp認証が残っているのかはわかりません。ですが、100年後の世界がより良い世の中になっているために、B Corp認証というものがあるのだと思っています。

谷村:そうですね。B Corp認証を取得することそのものというよりも、取得に向けたプロセスを通じて、パーパスにしているものを明確にしていくことに大きな価値がありますね!

鳥居さん:今は日本でも取得企業が増えているので、それぞれの成功例や失敗例を共有しながら、より良い取り組みにつなげていけたらいいですよね。

谷村:これを機に、わたし自身もサステナビリティへの理解を深められましたし、自分なりの意見も持つことができるようになりました。

そして当社グループもB Corp認証取得にあたって、既存の取得企業さまにはとても親切にしていただきましたし、取得前からコミュニティの一員として受け入れていただいたのはすごく居心地がよかったです。取得企業さまがしてくださったように、今後は当社グループが取得を目指す企業さまのサポートができればと思っています。

鳥居さん:B Corp認証の取得はスタートであり、「これからも社会のために取り組んでいきます」という、世の中への約束だと思っています。これからもインクルーシブかつ公平でリジェネラティブな経済の実現を目指し、ともに進んでいきましょう。

サニーサイドアップグループはさらに多くの“たのしいさわぎ”をおこすべく、これからもサステナビリティを推進し、そのムーブメントを世の中へ拡げてまいります!

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伊藤 美咲(SUNNY DAYS オフィシャルライター)

フリーランスのライター。インタビュー記事やイベントレポート、コラムなどの執筆を手がける。ジャンルはエンタメ、旅行、食、ビジネスなどあらゆる領域を担当。音楽と紅茶と焼き菓子が好き。

※所属は執筆時と異なる場合があります

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